【刀剣乱舞】菊の花は乱れ咲く。 (ページ2)

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菊二ページ2

「…っと、此処でこの本丸内の案内は終了だ。早めに此処を去ることを薦める。…主を怒らせないようにな」

「善処致します。貴方に幸があらんことを」

其の儘、縁側に座り中庭を眺める。

かつて澄んでいたであろう空、透明なさらさらと流れていたはずの川、青々と茂り、春になれば花を咲かせていた桜の面影は何一つ。

曇り、濁り、枯れ果てて。

そう云えば、この本丸はとても心地が悪い。まるで、環境汚染に苛まれているようだ。あの審神者も、気持ち悪くはないのだろうか。

中庭に降りて、本丸を眺めてみる。

とても禍々しいのだ。

どうしようもなく。

「ここにいて良いことはなさそうですね」

「ん？お前…新入りか？」

「誰でしょう？」

また縁側に座って、うつらうつらとしていたら、突然声が聞こえてきて。

振り返ってみればそこには疲れ切った表情の鶴丸国永。

「嗚呼、鶴丸国永ですか。何用です？」

「いや、初めて見る刀だと思ったんでな」

「そうですか、私は山鳥毛一文字。好きなようにお呼びください」

白い服は赤に染まり、所々、臭うものが…….私の視線に気づいたのか、目を伏せてぽつりぽつりと話し出す。

嗚呼、勿論私の隣に座ってだよ？

「今の審神者は四代目なんだ。ほかのブラック本丸とは違って、初代は勿論、前任はとても優しかった。だが、四代目だ。四代目は今までとは違ったんだ。奴は霊力が大きくてでなぁ、言霊で縛って無理矢理従わせるのさ」

「それに短気で、すぐ怒る。口より先に手が出る。お陰で沢山の奴が折れていったよ。はは、そのせいで壊れちまった奴らもいるんだ。なあ、お前はそんなことにならないようにな。新しく来た奴は大抵夜に呼び出される。」

「早めに逃げるか、隠れることを薦めるぞ」

涙は、段々と彼の眼からこぼれ始める。私は目を伏せ、着物の袖で涙を拭う。

「お気になさらず。そのようなこと、私には痛くも痒くもありません。殺られるまえに殺ってしまいましょう。」

よいしょっとすくっと立ち上がる。

「明日の朝をお楽しみに。貴方に最高の驚きを提供して差し上げましょう」

私は怪しく微笑んだ。