僕らは甘くない (ページ18)

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船「髙橋！河田！一体何があったんだ」

海「河田くんが足怪我したみたいで背負ってここまで来ました」

紫「海人、もうすぐ学校ってときに進路方向変えるからびっくりするじゃんか」

えっ？

岸「俺、海人の後ろ走ってたからコースが今年から変わったのかと思った」

嘘‥

神「しかもマラソンのときよりスピード出てなかった？」

な、何それ‥

海「そう？全然気にしてなかったー」

もしそうなら、海ちゃんは

もしかして私がスパイクで踏まれたこと

知ってたのかな

血が滲んでいる状態で

走っていたこと

知っていたのかな

そんな解答を

確かめさせてくれないまま

船山先生に連れられて

処置をしてもらった

海ちゃんは無傷だし

ここでお別れ

海「気をつけてね、これから」

『大袈裟だよ』

船「ほら、行くぞ」

海ちゃんはどこにそんな力がっていうくらい

逞しく感じた

船「全く、お前は」

保健室に着くなり

文句ですか

ブツブツ言いながら

消毒液を含んだガーゼを当てた

『痛ッ！！』

船「当たり前だ。よくこんな足で走ったもんだ」

『だって‥』

走らないと目立つし

走らないとペナルティあるって聞かされてたし

船「状況が状況だ！全くあいつ譲りなんだから」

“あいつ”とは多分父のこと

確かに

母より父に似ている、と

親戚や家族によく言われる

本人的には似てないって思うけどなー

＿＿＿コンコン

海「失礼します。河田くんの怪我の具合はどうですか？」

『もう大丈夫だから』

船「お前が判断するな！まぁ、消毒はしたし無理は禁物だな」

『＿＿＿だってさ！』

海「よかった～。ねぇ！昼食べようよ！おばちゃんからお弁当貰ったんだ」

いいでしょ？と

海ちゃんが船山先生の方を向くと

船「テーブル使え」

海「やったー！」

テーブルに

お弁当を2つ並べて

卵焼きや

おにぎり、

タコさんウインナーの定番が

ズラリと入っている

海「『いただきます』」

一口頬張れば

食堂でのあの味が口に広がる

『美味しい！！』

海「でしょ！おばちゃんに今日はお弁当がいい、って言ったらつくってくれたの」

リスみたいに頬張る海ちゃん、

怪我している私をおんぶしてくれた海ちゃん

いつもニコニコしていて和ませてくれるけど

あの真剣な顔に

凄くドキドキした