84 「いえいえそんなことは」 ページ8
そんな一触即発の緊張感を孕んだ空気は、Aが壊した。
「六年生総出で私を助けに来てくださったのですね…!ああなんと感謝を申し上げるべきか。まずは1人ずつハグ…抱きしめさせていただいても?」
「A…距離感が少しおかしくなってないか?」
早速抱きしめられている仙蔵は振りほどくでもなくただ呆れ顔で、その艶やかな髪の毛をAの腕の内から零れ落としている。
「いえいえそんなことは」
「命を狙われているんだから、もう少し緊張感持ってくれ…」
そんなAに文次郎もため息混じりだ。
壊れた空気を持ち直すように、留三郎がおほん、と咳払いをする。
「さて、五年生。全員武器を置いてもらおうか」
五年生のうちの誰のものか分からない「ぐ…っ」というくぐもった声が聞こえた後、先制に三郎が鏢刀を投げる。
小平太が前へ出て苦無で弾き落とすが、それで良い。
これは合図。それぞれの呼吸を合わせて、五年生が総攻撃を仕掛け____
「六年生、助かった。下がってくれ」
その声と同時に、部屋の中に何かが投げ入れられる。
「?!」
「な、なんだ?!」
それが爆発して大量の煙が噴出すると、六年生は素早く廊下に下がって障子をぴしゃりと締め切った。
「っ!眠り火のじゅ、つ…」
兵助の言葉は、最後までは紡がれなかった。
気づいた時には既に煙を吸い込んでしまって、そのまま意識を奪われ力なく倒れる。
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加糖雪(プロフ) - まんじゅうDXさん» こちらにもコメントありがとうございます…!ようやく五年生と絡ませることができました…!こちらこそここまで読んでいただけて嬉しいです。ありがとうございます! (2022年11月28日 17時) (レス) @page7 id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
まんじゅうDX - 続編 おめでとうございます!! 5年生との絡み…最高ですねッ!! ここまで続けてくれて、本当にありがとうございます…! (2022年11月26日 18時) (レス) id: 8f3d0eca03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2022年11月25日 19時