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「あなたは噂のAさんじゃないですか」
踏鋤を担いでこちらを見下ろすその子の忍者服は鮮やかな方の紫色。
四年生の子か。
(一方的に私のことを知られている…それもそうか)
「落とし穴に落ちた音だけ聞こえて人の声がしないのでお化けでもかかったのかと思いましたよ」
「…すみません、上手く驚けなくて」
先に名前を訊くべきか助けてくれと言うべきか悩んで、一瞬のうちには判断がつかずにズレた返事をしてしまう。
……1年は組の子が私の部屋に来た時にも似たような理由で謝ってしまった気がする。
「はあ、謝ることじゃないかと。Aさんて変わってるんですね」
(そんなこと言ってないで助けて欲しいところだけど…)
「そうだ」
彼はその場に座り込んだ。じっと目を見つめられる。
喜八郎くんは飄々としていて淡々と話す。
「せっかく僕の落とし穴にハマってくれたことですし、僕とお話ししてください」
「え?」
「僕は4年い組の綾部喜八郎」
綾部喜八郎、と名乗った彼は完全に自分のペースに私を巻き込んで、強引に引きずっていく。
その顔に表情はあまり見えない。
「天才トラパーの穴掘り小僧。ちなみにこの落とし穴も僕が掘りました」
(それで、踏鋤…?)
「僕ずっとあなたとお話してみたかったんですよ」
「…ええとそれは…?」
できれば落とし穴を出てからにして欲しい。
だが喜八郎くんはそんな隙を与えない。
「忍術学園に来たのは助けてくれた保健委員会の委員長にお礼をしたいからとお聞きしましたが」
「…うん」
「お礼をしにきたってのは皮肉ですか」
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加糖雪(プロフ) - 犬さん» コメントありがとうございます。お待たしてしまって申し訳ありません…また少しずつ更新していけたらと思うのでよろしくお願い致します! (2022年11月6日 0時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
犬(プロフ) - このお話の続きが楽しみです。更新楽しみにしてます。 (2022年3月24日 8時) (レス) @page27 id: f57686b26e (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - レン。さん» レン。さんコメントありがとうございます。学園の人達と関わっていく中で、夢主がどう変わってどういう選択をしていくのか見届けていただけると幸いです。今後もこの作品をよろしくお願いします…! (2022年1月16日 18時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - れなさん» れなさんコメントありがとうございます。感想をいただけてとても嬉しいです。ゆっくりとですが更新再開してますのでどうぞよろしくお願いします( ᵕᴗᵕ ) (2022年1月16日 18時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
レン。(プロフ) - これからの夢主ちゃんがどうなるのか気になります!!気長に更新待ってます! (2022年1月16日 4時) (レス) id: 6501380a5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年7月25日 4時