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用具倉庫の奥の方まで走りながら、留三郎さんは声を潜めながら慌てて言う。
「小平太は今バレーボールがしたいらしいんだ。
ボールが無いって説明して一度は押し返したんだが、何故また俺を探してるんだ…?!」
小平太さんの声が用具倉庫のすぐそばで聞こえる。
「留三郎〜?さっきはボールが無いって言ってたが、守一郎に在庫表見せてもらったらまだ壊れてないボールが一個あるみたいだぞ?」
用具倉庫の棚の影に隠れながら、全員の視線が私の手にするボールに向けられる。
「しゅ、守一郎…!!」
悔しそうに留三郎さんは拳を握った。
「ば、バレてるみたいだな…」
文次郎さんが小声で呟き、
「ああ、これ以上予算は使えないんだ。せめてこのボールだけでも守らなくては…」
留三郎さんは開けっ放しになった用具倉庫の扉の先に見える外の様子を伺う。
と、ゆらりと小平太さんの影が入口の方へ近づいた。
「用具倉庫の中か?」
「来る、あの大きい布を被って隠れるぞ!」
「おう!」
「ちょっ、私もですか…?!」
「「静かにっ」」
(えええ……!!)
倉庫の角に折りたたんで置かれていた大きな布を留三郎さんがばさっと片手で広げ、その端を文次郎さんが掴む。
二人はそれぞれ空いている方の腕で私の肩を抱き、ぐいっと引っ張る。
男二人がかりでこられては力で適うはずもなく、私はされるがまま、留三郎さんと文次郎さんが向かい合う間に挟まった。
三人で身を寄せあってしゃがみこみ、布を被る。
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ゆっちー(プロフ) - 加糖雪さん» フォロバありがとうございます!こちらこそよろしくお願いします!無理のない範囲で更新頑張ってくださいね!応援しております、、! (2021年7月12日 1時) (レス) id: 075c250024 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - ゆっちーさん» ゆっちーさんコメントありがとうございます!長々と続いてしまっていますが楽しんで頂けてとても嬉しいです´ `*Twitterのフォローもありがとうございます!フォロバさせていただいたんですが、間違いがないか確認して頂けたら幸いです汗 今後もよろしくお願いします…! (2021年7月11日 23時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっちー(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます!伊作先輩と食満先輩が好きすぎてもう辛い、、、夢主ちゃんの感じもどストライクで見ててもう楽しすぎます!これからも頑張ってくださいね!そして勝手ながらTwitterフォローさせていただきました、、、! (2021年7月11日 6時) (レス) id: 075c250024 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年7月2日 0時