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「揶揄うのもいい加減に……っ」
「てやっ」
「っう？！」
Aは正面のドクタケ忍者に向かって走り、10キロ算盤を振り回して手首にぶつけ、武器である苦無を落とさせる。
そして己の手に気を取られさせたその間に、首に手刀を落としてやる。
「ぐっ……」
ドサッ。
簡単に一人落ちた。
「このっ……！」
残りの3人が一斉にAの方へ走ってきたのを見て、Aは風呂敷の中からまた別の何かを取り出した。
それを地面へ叩きつければ、あっという間に辺りが白くなる。
「げほっ、ごほっ、なんだ……？！」
あらかじめ削ったチョークの粉を付けておいた黒板消しを目くらましの煙代わりにして、
「よっ」
チョークを三本、敵のだいたいの方向へ投げ込めば、今この瞬間、敵が立っている場所が測れる。
それは切り裂かれた煙の隙間から見える朱色の布地や、チョークが空気を裂く音、また身体スレスレを掠めた時の敵の「ひっ」という息遣い。
その全ての情報をひとつ残らず拾い上げるからだ。
位置が割り出せたならあとはスピード勝負。
敵がその場から動かないうちに、
「えいっ」
「うっ！？」
10キロ算盤で殴り、
「とうっ」
「あがっ！？」
三角定規の角で殴り、
「はいっ」
「おあっ！？」
最後に腹に一撃お見舞いしてやる。
煙が晴れて見えた光景に、伊作はあっ、と息を飲んだ。
ドクタケ忍者は4人全員、地面に伏している。
地獄の会計委員会委員長、文次郎のように10キロ算盤を片手で担ぎ、もう片方の手は土井先生のように授業用の三角定規を持って腰に当てている。
「土井先生の新しい教材ちょっと使っちゃったけど、まあいっか。使えるものはなんでも使うのが忍者だもんな」
「…ありがとう、A」
「そりゃ、忍たまに呼ばれたらすぐにでも駆けつけちゃうよ」
「やっぱり聞こえてたんじゃん！」
「どう？惚れ直した？」
「惚れ直すも何も、別に惚れてないから！」
「えー？ツンデレ？」
せっかくかっこいいと思ったのにすぐこれだから、と呆れそうになる伊作に、Aはふふ、と改めて顔を向けた。
そして優しく笑いかける。
「さ、お団子でも買って帰ろう」
そして数秒置いて、「……あ、そうだ。伊作には焼き魚のお土産があるぞ」と付け加える。
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加糖雪(プロフ) - 乃花おむ子さん» 乃花おむ子さんこちらにもコメントくださりありがとうございます！ギャグに自信ないのですが笑っていただけて嬉しいです〜！こちらの作品はかなりゆっくりの更新になりますがよろしくお願いいたしますm(_ _)m (2021年9月25日 18時) (
レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
乃花おむ子(プロフ) - めちゃめちゃ面白くて笑いながら読んでしまいました……！無理のない程度に更新頑張ってください！ (2021年9月24日 7時) (レス) @page27 id: 3538425ae0 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - まーぶりんさん» まーぶりんさんコメントありがとうございます！楽しんで頂けている様で何よりです…！応援ありがとうございます。今後も何卒よろしくお願いいたします！ (2021年5月21日 20時) (レス) id: 22bc115167 (このIDを非表示/違反報告)
まーぶりん(プロフ) - ｳｯ…凄く好きです…！！ホント主様の文才が神すぎて…！更新楽しみにしてます( ﾟдﾟ)頑張ってくださいー！！ (2021年5月20日 17時) (レス) id: 045921842f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：加糖 雪 | 作成日時：2021年5月12日 22時
