― ページ34
「そう。それで、必要な分は?」
「必要な分だと…委員会で使うから……予算を差し引いて……」
ざっと計算し、このくらい?と言ってみれば、このくらいね、と繰り返され、
さっと言った分だけ布に包んだかと思えば、多めの小銭と一緒に伊作に差し出した。
「はい、まいど。これお釣り」
「え、えええ!!!?!」
(な……っ!!Aにやられた〜〜〜!!!!!)
迂闊だった。
Aと出かけるというのはそういうことであった。
買うか買わないかは別として、なんて真に受けるんじゃなかった。
(Aはデートとなれば、お代は全部自分が持つ…しかも知らない間に勘定を済ませてたりして、そういうとこが案外紳士……って忍たま限定でするのはどうなんだろうとは思うけど…!)
先生たちや学園外の人たちには多分平気で、「割り勘で」とか「これ俺の分」ときっちり自分が使った分だけ出す奴だ。
そして時は現在に戻り、所は薬屋の店先に戻る。
「店主さんにお金預けてたって聞いてなかったから僕……!」
「うんうん」
Aは満足そうに頷いているが、伊作が知らないのは当然、言ってないからである。
「こ、こんなに買っちゃった……!!ごめん、大丈夫だった……?」
「え?何が?」
「お金のこと!」
「え〜俺に遠慮とか要らないんですけど〜。てかお釣りあったでしょ?それくらい気にしないでよ」
そのお釣りもかなりの額であり、薬の代金と合わせてどのくらい店主に預けていたのか考えると少し怖くなる。
というか、万が一預けた金額以上の会計になった時には、Aが不足分を自分が戻ってきた時に払うつもりだった。
「んーと、そのお釣りそのまま持ってていいから。それで好きなだけ包帯買って?」
「ひえ……」
このお金の出処とは一体……。
そういえば、Aのプライベートをよく知らない。僕だけだろうか。
休日はアルバイトとかしているのだろうか?それとも実家がお金持ち?
(Aのことだから、まさか、怪しいお金だったり……)
ごくり、唾を飲む。
「伊作、なんか変なこと考えてないか?」
「う、ううん、別に?」
Aの謎は深まるばかりである。
58人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
加糖雪(プロフ) - 乃花おむ子さん» 乃花おむ子さんこちらにもコメントくださりありがとうございます!ギャグに自信ないのですが笑っていただけて嬉しいです〜!こちらの作品はかなりゆっくりの更新になりますがよろしくお願いいたしますm(_ _)m (2021年9月25日 18時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
乃花おむ子(プロフ) - めちゃめちゃ面白くて笑いながら読んでしまいました……!無理のない程度に更新頑張ってください! (2021年9月24日 7時) (レス) @page27 id: 3538425ae0 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - まーぶりんさん» まーぶりんさんコメントありがとうございます!楽しんで頂けている様で何よりです…!応援ありがとうございます。今後も何卒よろしくお願いいたします! (2021年5月21日 20時) (レス) id: 22bc115167 (このIDを非表示/違反報告)
まーぶりん(プロフ) - ウッ…凄く好きです…!!ホント主様の文才が神すぎて…!更新楽しみにしてます( ゚д゚)頑張ってくださいー!! (2021年5月20日 17時) (レス) id: 045921842f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年5月12日 22時