― ページ35
お腹が空いたので、二人は昼食にとうどん屋の暖簾をくぐった。
同じ机で向かい合い、いただきますと手を合わせてからあたたかいうどんを啜る。
「そういえばAの方の用事は済んだの?」
「うん!とりあえず町でできる分はね。算盤を修理に出して、お茶の葉も買えた。土井先生の教材も注文書と引き替えに受け取ってきたし、筆も納品した」
「あの短時間で?す、すごいね……」
「でしょ〜?いやあ伊作に褒められると照れるなあ〜!もっと褒めてくれていいんだよ?」
「それはAが調子に乗りすぎるから遠慮するね。…この後はどうする?」
「うーん。清八さんとこに行くのと、兵庫水軍のとこに行くのが残ってるんだよなあ。そこでの用事が済んだ頃には算盤の修理も終わってるだろうから、帰りにまたこっちに戻ってきたいし……」
「じゃあ僕、包帯買ってこの辺で待ってるよ」
「え、一緒に」
「Aが1人で行った方がきっと早く終わるでしょ?僕が着いて行ったら遅くなっちゃうだろうし、戻ってきてまた包帯買いに行くのも二度手間になるんじゃないかな」
「それはそうかもしれないけど…一緒に」
「それにちょっとAのベタベタに飽きてきたし?」
「どういうこと?!」
「距離が近すぎて歩きにくい」
「単純にそれはごめん!でも大好きな忍たまは至近距離で見てたいし触れてたいし匂いを嗅いだり五感全てを使ってその存在を感じてたいじゃん?!」
「滲み出る変態らしさが隠しきれてないよ…」
「じ、じゃあ!秒で終わらせてくるから!瞬きの間に終わらせてくるから!」
「急ぎすぎて怪我しないでね」
「うっ優しさが良薬のように沁みる……ッ」
「はいはい……」
最後のうどんを啜り、どんぶりを傾け汁を飲み込むと、Aは荷物を手に席を立った。
「じゃ、行ってくる」
「えっもう完食……?!」
「美味しいからつい早食いに……伊作はゆっくり食べてて、ね」
優しく微笑み、
「すみませんお会計〜!」と机を離れていった。
「はーい」
奥から出てきたのは若い女の人。
Aを一目見て、恍惚とした表情になった。
58人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
加糖雪(プロフ) - 乃花おむ子さん» 乃花おむ子さんこちらにもコメントくださりありがとうございます!ギャグに自信ないのですが笑っていただけて嬉しいです〜!こちらの作品はかなりゆっくりの更新になりますがよろしくお願いいたしますm(_ _)m (2021年9月25日 18時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
乃花おむ子(プロフ) - めちゃめちゃ面白くて笑いながら読んでしまいました……!無理のない程度に更新頑張ってください! (2021年9月24日 7時) (レス) @page27 id: 3538425ae0 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - まーぶりんさん» まーぶりんさんコメントありがとうございます!楽しんで頂けている様で何よりです…!応援ありがとうございます。今後も何卒よろしくお願いいたします! (2021年5月21日 20時) (レス) id: 22bc115167 (このIDを非表示/違反報告)
まーぶりん(プロフ) - ウッ…凄く好きです…!!ホント主様の文才が神すぎて…!更新楽しみにしてます( ゚д゚)頑張ってくださいー!! (2021年5月20日 17時) (レス) id: 045921842f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年5月12日 22時