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私は障子を閉め、部屋に戻る。

山本さんが来る前に机の上の本を箪笥上に片付けておこうと本をまとめて持って立ち上がった。




___その時。



急に全身の力が抜けた。

腕の中から本が滑り、音を立てて畳の上に落ちる。
膝ががくんと折れて、立っていられずにそのまま地べたに座り込んでしまう。



「っ…」


身体に残る立ちくらみのような、めまいのような感覚に私は思わず目を閉じた。



俯いて深呼吸を繰り返していくと、だんだんと落ち着いていく。





…この間もこんなことがあった。



その時は本当に倒れそうになって、そこを通りがかった青年に助けてもらった。


今回もやっぱり、これまで体調に異変はなく突然身体に力が入らなくなって…

治まった今はもうなんともない。


どうして突然に?という疑問だけが浮かぶ。




ただ一つわかることと言えば、…


私は自分の不調に、その限界が来るまで気がつけなくなっているということだ。





「Aちゃーん」



私を呼ぶ声がして振り返ると、障子の向こうに人がいるのが見えた。


「…伊作さん?」


その声は伊作さんのもので、私は障子を開けなくてはと慌てて散らばった本をかき集める。

そしてそれを箪笥の上へ置くと、ばたばたと障子の前に駆け寄る。




(今日は来客が多いなあ…)



私は障子を開ける。




「あ、Aちゃん」




私の顔を見てぱっと笑顔になった伊作さんは何故だか夕食と思われるご飯の揃ったお盆を手にしている。


「どうしたんですか」

「山本シナ先生が用事でAちゃんに夕飯届けに行けないからって代わりに頼まれたんだ」

「…そうだったんですね」


それくらいのことだったらもう自分の脚で食堂に行けるのに、

(…なんて、さっきもまた倒れかけた人が言えないか)

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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年4月25日 20時

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