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「見つかって良かったな、雷蔵」
「うん…!明日提出の宿題もなくならずに済んで良かった…!」
私から“忍たまの友”とそこに挟まれていた計算問題の紙_宿題を受け取った雷蔵さんはほっとしたように笑う。
その雷蔵さんと全く同じ顔をした人とやりとりするのを見て、なんだか私の方も安心した。
(それにしても…双子なのだろうか?)
「Aさんも不破雷蔵先輩も、ご迷惑おかけしてすみませんでした!」
きり丸くんが頭を下げるのに、雷蔵さんに対してはともかく私にまで謝る必要はないような気がして「大丈夫だよ」と返す。
「まあとにかくこれで一件落着だね!」
「だね。僕ほっとしたらお腹すいてきちゃった」
乱太郎くんとしんベヱくんが笑う。
「A…さん」
「…はい」
「忍たまの友」を持つ方の雷蔵さんに名前を呼ばれて、私は驚きながらも顔を上げた。
「ありがとうございました」
そしてにこりと微笑まれる。
「いえ、私は何も…」
私も笑い返すと、雷蔵さんの横の同じ顔の人からも「Aさん」と呼ばれる。
「私からもお礼を言うよ。ありがとう」
その人もまた、私に笑いかけた。
私に謝る必要もなければ、逆にお礼を言う必要もないと思うのだが…
「…ところで、懐から少し見えているその紙は?」
「?」
雷蔵さんと同じ顔のその人が笑顔のまま私の胸元を指さした。
私は指をさされている自分の胸元に視線を落とす。
(…あ、雑渡さんの…)
襟の布の隙間から見えていたのは、昨日雑渡さんが私にいつの間にか押しつけていた雑渡さんからの小さい手紙の角だった。
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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年4月25日 20時