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初めて知ることばかり書かれていて、つい没頭してしまう。
薬草図鑑はあっという間に最後のページまで読み終わり、私は次の本を開く。
そうして次々本を読んでゆき、最後の1冊である「忍たまの友」を読もうと掴んだ時。
「あ」
ひらりと本のページの隙間から折りたたまれた紙が出てきて畳の上に落ちる。
さっき中身を軽く見たときには気が付かなかったらしいそれを拾い上げ、何の気なしに開いてみる。
チラシくらいの大きさのその紙には、数式が並んでいた。
(…計算問題?)
数式の横に番号がふってあったり、問題文と思わしき文字が並んでいるあたり、計算問題の紙で間違いはなさそうだった。
そして、全部回答済み。採点はされていない。
おそらく学園の生徒のものであろうということなら、名前が書かれているはずだ、と視線を動かして探してみる。
(あ、あった___ふ、わ…)
「不破雷蔵」。
紙の端の方に書かれたその名前の横には、「5年ろ組」とあった。
持ち主が分かったところで、この不破雷蔵という人はこれが無くて困るんじゃないかというところに行き着く。
(どうしよう、届けてあげた方が良いのかな)
けれど届けるためにはどうすれば良いか分からない。
山本さんが夕食の時間にここに来た時に伝えれば大丈夫かな。
そう思ったところで、障子の向こうから廊下を走る足音がひとり…いや数人分聞こえてきた。
「Aさーーーん!!!」
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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年4月25日 20時