きっと息をやめるまで 3 【RKRN】 (ページ28)

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戸惑いながらお礼を言って、私はきり丸くんから本を受け取った。

包帯だらけの腕と、もう片方の傷だらけの腕の2本で、厚さの異なる本たちが数冊重なるのを抱える。

私は少し様子のおかしい3人を不思議に思ったが、怪しいとか危険だとか、とりあえずそんな嫌な予感はしないので気にしないことにした。

乱太郎くんはしんベヱくんの口を塞いでいた手を離し、3人で「どういたしまして！」とこちらに胸を張って見せる。

「本当は先生たちに、
気になるだろうけどAさんの部屋には保健委員と先生以外は行っちゃダメ、
って言われてるんだけどね」

しんベヱくんは眉を下げてあはは、と笑った。

「Aさんの体調の回復を第一に考えてるんだろうから仕方ないけど」

きり丸くんも笑う。

「そう、なんだ…」

ちょっとだけ、先生たちの言いつけを破ってまでここへ来てくれたことに罪悪感を抱いた。

「ああっ！Aさん気にしないでください！Aさんに喜んでもらえたみたいですし、私たち来てよかったって思ってますから」

乱太郎くんは私の思いに気がついて、そして安心したような満足気な表情をした。

それはきり丸くんとしんベヱくんも同じみたいで、「そうだな」「そうだね」と笑顔になる。

「乱太郎くんたちの言う通り、部屋でずっと暇してたの……本当に、ありがとう」

改めて、私も笑顔で感謝を伝えた。

3人は困ったように笑い、顔を見合わせる。

「それじゃあ私たち、先生に見つかる前に戻ります！」

乱太郎くんは声を潜めた。

「そうだな。ここ山田先生と土井先生の部屋の近くみたいだし」

「じゃあ、またね、Aさん！」

きり丸くんとしんベヱくんも声を潜める。

私もそれに倣って
「気をつけてね」と3人に小声で言うと、彼らは笑顔のまま部屋の前から去っていった。

(……優しい、なあ…)

自分の腕の中の本は数えてみると5冊。

厚さも数もそんなになく、さほど重くない本たちが、あの3人の思いの分重たく感じるみたいだった。