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私は学園長さんが言ったことをぐるぐる考え込みながら、昼食を済ませた。
できるだけ平静を装った甲斐あって、ご飯を運んできてくれた山本さんに様子がおかしいわね、とか大丈夫?とか言わせずに済んだのは自分を褒めたいところだ。
私は1人の部屋でため息をつく。
(…学園長さんが何を考えているのかわからない…)
どうして私を引き止めた?
帰る場所がないから?
私の身体が治った後はどうするつもりでいるのだろう?
事情を聞かないのは村を焼かれた私に同情したからだろうか。
だから助けようとしてくれている?
(…いや、結局は…)
ここを穏便に、可及的速やかに。
出て行くことができればどの道どうだっていいのかもしれない。
もうひとつため息をつきかけたところで、障子の向こうから声がした。
「Aさーん!いますかー?」
顔を上げると、障子に小さい子供の影が3人分。
(…この声、乱太郎くん…?)
保健委員がまた何か私に用事でもあるのかなと考えつつ、私は障子を開けた。
「あ!Aさん!お久しぶりです!」
そこには丸1日ぶりに会う乱太郎くんと、その両脇には初めて見る子が2人いた。
その2人は乱太郎くんと同じ色の制服を着ていて1年生だということがわかる。
「…うん、久しぶり」
「お体変わりありませんか?」
「お陰様で元気だよ」
私のことをまじまじと見ている2人をこの子たち、誰だろうと交互に見やっていると、見かねた乱太郎くんが
「2人とも自己紹介自己紹介っ!」
と促してくれる。
「はっそうだった」と2人して声を合わせたあと、
「摂津のきり丸です!」
「福富しんべヱです!」
順に名乗り、「よろしくお願いします!」とお辞儀をされる。
私も頭を下げて「私はA、よろしくね」と答えた。
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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年4月25日 20時