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城へ戻った昆奈門は、先程河原で別れた3人＿山本陣内、高坂陣内左衛門、諸泉尊奈門の作業する部屋へと入った。
次の忍務へ向けた準備の進捗はどうかと見ていると、陣内が口を開く。
「組頭、結局さっきのあの子は一体何だったんですか」
「気になる？」
昆奈門が意味ありげに首を傾げて見せると、今度は「もちろんです」と3人揃って頷いた。
「だって、組頭とよく分からない話をしていたし…」
と高坂。
「それになんか、ずっと苦しそうな顔をしてたというか、笑うのも無理やりみたいで、ずっと違和感ありましたよ」
と尊奈門。
尊奈門の言う通り、彼女は全て諦めている故に諦観の表情でいるのだ。
死ぬこと以外の全てを諦めている。
「…彼女は、色々と抱えすぎているんだ」
(「君は死のうとしているだろう」と、
「忍術学園から逃げようとしているだろう」と、
言えなかった。
彼女はこちらにそれを悟られていると知ったら、忍術学園だけでなく私の元からも逃げようとするだろうから。
あくまで本人に隠さなければ、救えない)
「彼女のことについて話すのはまた今度にしない？今は忍務が先。話すと本当に長くなるからね＿＿＿」
(忍術学園の保健委員会委員長が悲しむから、Aちゃん。悪いけど、こちらも精一杯引き止めさせてもらうよ。
そしてここから先、彼女が抱えすぎているものの中から、本当の気持ちをどうにか見つけださせるのは…
忍術学園、いや、伊作くんの仕事だ。
君はそれなりの覚悟をもって人を救い、生かしているのだろうから)
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作者名：加糖 雪 | 作成日時：2021年4月25日 20時
