きっと息をやめるまで 3 【RKRN】 (ページ15)

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その一方で、彼女の疑念は尤もであった。

彼女はおそらく、助けたのは”助けた側の身勝手”であると感じている。

それは生きていたくないという思いがあれば余計にだ。

私じゃなくても良かったんじゃないか、という言葉の意味は、”私を助ける分他の人が助けられたはず、手を差し伸べた先が自分であった必要はあったのか“ということだ。

ところが、彼女もまた優しい人間であった。

誰を責めるわけでもなく、自分が行き場を無くしたのを仕方がないことだと言った。

そして昆奈門に気負う必要は無い、ととれることを言った。

彼女の帰る場所が無くなってしまったことは、もちろん彼女自身のせいでもない。

だから、彼女は誰かに泣いて喚いて叫ぶことを許されるはずなのだ。

しかしそれをすることもしない。

言い換えれば、全て諦めているのだ。
そのせいで誰のことも責められない。

だから彼女の中にある怒りも悲しみも存在することを許されなくて、本人は折り合いがつかなくなっている。

自分の本当の思いも素直な感情も理不尽な怒りすらも、忘れているのか抱けない。

それはきっと、本人が気づいているかいないかに関わらず間違いなく苦しいことだ。

彼女は優しさ故に、
昆奈門を、伊作を、忍術学園を、
「どうして私を助けたんだ」
と糾弾しない。

その気になれば出来るはずなのに、時と場所を選ばす息を辞めることをしない。

否、できない。

彼女はきっと自分自身を殺せない。