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少女の跡をつけ始めてすぐに分かったのは、やはり彼女の行く先などなかったということだ。

日付が変わっても目的地へ着く気配がなく、当てもなくふらふらしている。
自分の身体を気にかける様子もない。




戦で行き場をなくす人はこのご時世、悲しいことにそう珍しいものでは無い。

そして、そうして全て失ってしまった人が自ら命を絶とうとすることも。




それなりの長い間を忍びという世界で生きてきた昆奈門は、そんな少女を見て「彼女が死ぬつもりでいる」のだろうとすぐに見当がついた。



どうにか止められないかと少女を見守っている中で、少女が忍術学園に向かおうとしていることも分かった。

彼女は道中で出会う人々に、「忍術学園の場所はどこですか、知りませんか」と尋ねていたからだ。




尋ねながら少女が山の方へ向かっていたのは考えてのことなのか偶然なのかは分からないが、前者であればなかなかの勘の持ち主だろう。

忍術学園は山の近くにある。

とは言え、惜しくも少女の向かっていった山は忍術学園とは反対方向であったが。




しかし少女はとうとう忍術学園の場所を知っている人に出会えなければ、たどり着くこともできなかった。



昆奈門は少女はもう限界だろうと察して、忍術学園へと彼女を導いた。







彼女がどうして忍術学園に向かっていたのかは昆奈門にとって謎であったが、幸運だった。


彼女を思い留まらせるのにちょうど良いと思っていたのが忍術学園だったからだ。


もし彼女が忍術学園に向かおうとせずに死のうとしたとしても、昆奈門は同じように忍術学園へと連れて行っていたはずだ。





忍術学園なら安全で、この子を救ってくれるとそう思った。

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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年4月25日 20時

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