きっと息をやめるまで 3 【RKRN】 (ページ2)

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「この子は忍術学園から攫ってきた」

なんでもない顔で私を紹介する上司に、部下たちは

「攫っ…？」
「組頭！」
「忍術学園！？」

声を出すタイミングこそ完璧にぴったりだったが、言うことはバラバラに不協和音を奏でた。

「詳しく説明すると長くなる。
簡単に言うと…私が助けたことのある村娘だ。
今は忍術学園に寝泊まりしていて、私が話したいことがあるから連れてきた。
忍術学園に居ちゃすぐに手裏剣やら焙烙火矢やらが飛んできて、話どころじゃなくなるからな」

この人は忍術学園で何かやらかしたのだろうか、と考えがよぎるが、
なるほどと部下たちが戸惑いながらも納得したところを見ると、案外忍びの世界ってそういうものなのかもしれないと思えた。

「忍術学園…私も行っていれば土井半助と勝負ができていたかも…」

一番幼く見える部下が拳を作ってわなわなと震えたのに、歳上2人が「まあまあ」とため息混じりにやんわり抑える。

(土井半助、って土井さんのこと…？)

昨晩縁側で少しだけ会話したあの人を思い浮かべる。

この人たちと忍術学園には何か繋がりがあるみたいだ。
伊作さんも雑渡さんと面識があるみたいだったし。

「…と、いうわけで団子を食べる前に自己紹介してもらおうか」

前のセリフと全く話が繋がってないのだが、雑渡さんはにっこりと笑った。

いきなりのことに「じ、自己紹介、は、はい…おほん」と慌てながらも1番歳上に見える人から口を開く。

「タソガレドキ忍軍狼隊小頭、山本陣内」

その人の次に歳上に見える人は、
「同じく高坂陣内左衛門」

最後に一番幼く見える人が、
「お、同じく諸泉尊奈門」

全員が木の幹を挟んでいながらも、私に顔が見えるように身を乗り出しながら自己紹介をしてくれる。

組頭の無茶ぶりにもしっかり対応するのは流石だ。

「はい、君も」
「私も？」
「団子食べたいから早く」

雑渡さんは私にも自己紹介をするよう急かしてきた。