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木の幹の根元の方に、雑渡さんと同じく黒柿色の忍び装束を着て、口元に布を巻いた人が3人。
揃ってこちらを見上げている。
「言われた通りお団子買ってきましたよ〜｣
「ああ、また脚を揃えて座っていらっしゃる…」
「…隣のあの人は誰だろう…？」
雑渡さんは改めて私の方を見ると、
｢あれは私の部下だ｣
｢…はあ｣
気の抜けるような返事だけして、再び足元の3人に目を向ける。
すると3人は飛び立って、私と雑渡さんの座る木の枝の、幹を挟んで反対側に着地する。
大きくて枝も太い木とはいえ、1本の枝に3人が並ぶその姿は、少し窮屈そうに見えた。
私の隣で雑渡さんは静かに立ち上がって私の頭の上で木の幹に片手をつくと、部下の方へ身を乗り出す。
そして部下3人の中で1番幼く見える人もこちらに身を乗り出してきて、雑渡さんに包みをひとつ手渡した。
「おつかいありがとう。ご苦労さま」
｢いえ、組頭の為ならこれくらい当然ですよ！｣
健気な笑みを見せるその人は、私と同じくらいの歳だろうか。
｢組頭、ところでその方は…｣
3人の中で次に若く見える人が、私の方を見る。
｢まさか、娘さんですか…？｣
1番歳上に見える人がそうおそるおそる口にすれば、ぎょっとした雑渡さんの部下3人分の視線がいっぺんに私に向けられた。
(そうか、私と雑渡さんは親子くらい年が離れて見えるのか…)
｢か、隠し子…？！｣
｢いつの間に…｣
｢私と同じくらいの歳の子供がいるなんて聞いてませんよ…！｣
雑渡さん本人はというと、わざとらしく困ったように笑いながら、
｢うーん、そういうことにしておく？｣
｢えっ｣
私に話を振ってきた。
｢嫌？｣
｢嫌とかそういうことではなくてですね…｣
｢冗談｣
雑渡さんはふふ、と頬を緩めた。
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作者名：加糖 雪 | 作成日時：2021年4月25日 20時
