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浅い眠りで朝を迎えた。
昨日と同じく新野さんに健康観察をしてもらい、朝食や身支度も山本さんと二人で済ませた。髪も結ってもらった。
保健委員がやってきた昨日と比べるとずっと静かな朝の時間を過ごして、それから私はまた時間を持て余してしまう。
部屋に1人ぽつんといるだけで、することは特にない。
昨日の畳んだ布団の上に寝ていたこともあってか、山本さんに言われて敷いたままにしてある布団をちらりと見る。
横になる気にもなれない。
絶対安静と言われているのだからこれが正解なのだろうし、むしろ布団で寝ていればもっと良いのかもしれないが、なんだかじっとしているのは落ち着かなかった。
昼食の時間になる前に、今日こそ学園内の散策ができないだろうか。
私は立ち上がって障子を開けた。
部屋の外へ出て、障子を閉める。
ふっと息を着くと、横から「あ」と短く声が聞こえた。
「Aちゃん」
伊作さんが、私を見つけてこちらに歩いてくるところだった。
「…伊作さん」
「部屋から出てどうしたの？」
「…少し、外の空気が吸いたくて」
伊作さんは私のすぐ近くまで来て、にこりと笑った。
「そっか。部屋に籠ってばかりも身体に良くないしね」
「…伊作さんの方はどうしてここに？」
(今の時間なら忍たまたちも先生たちも授業中で、人目につかないように学園内を歩き回れると思ったのに…)
読みが外れて内心少し動揺していた。
「ああ、僕は今実習から帰ってきたところなんだ」
実習。外に出て授業をするということだ。
実習なんてものがあるなんて知らなかった。予測できなくて当然。
今度から気をつけなくては。
「Aちゃんの顔が見れてよかった」
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作者名：加糖 雪 | 作成日時：2021年4月6日 16時
