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「あっ利吉さんだ!」



乱太郎がその姿を見つけて指さすと、「ほんとだ」と一緒にいたきり丸としんベヱと駆け出した。



「利吉さん!」と3人が声を揃える。

「乱太郎、きり丸、しんベヱ」



利吉の元へやってきた小さな3人に微笑む利吉は、ちょうど出門表にサインをするところであった。




「あれ、今から帰っちゃうんですか?」

きり丸がサインをする利吉の手元に視線をやりながら首を傾げた。



「ああ。急用ができてしまってね」


「残念だなあ。時間があれば利吉さんに忍術について教えてもらいたかったのに」

1番に残念がったのは、乱太郎きり丸しんベヱではなく、サインの済んだ出門票を利吉から受け取る小松田であった。


「そうですよ!もうすぐお昼ですし、食堂の定食も食べていけばいいのに」
しんベヱも利吉を見上げてそう言う。



「悪いね。けどまた近いうちに来るから」

「ほんとですか?」

乱太郎が代表して聞き返したのに、利吉は頷く。

「うん」


その返事に、忍たまの3人と事務員は目を輝かせた。



「あっ、しまった。父上に約束を取り付けてない…。
乱太郎きり丸しんベヱ。父に“絶対に休みを取って家に帰るように”と伝えておいてくれ」


「それじゃ、またね」と言い残すと、利吉は門をくぐらずに軽々塀を飛び越えて忍術学園をあとにした。




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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年4月6日 16時

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