4 ページ30
*
「あっ利吉さんだ!」
乱太郎がその姿を見つけて指さすと、「ほんとだ」と一緒にいたきり丸としんベヱと駆け出した。
「利吉さん!」と3人が声を揃える。
「乱太郎、きり丸、しんベヱ」
利吉の元へやってきた小さな3人に微笑む利吉は、ちょうど出門表にサインをするところであった。
「あれ、今から帰っちゃうんですか?」
きり丸がサインをする利吉の手元に視線をやりながら首を傾げた。
「ああ。急用ができてしまってね」
「残念だなあ。時間があれば利吉さんに忍術について教えてもらいたかったのに」
1番に残念がったのは、乱太郎きり丸しんベヱではなく、サインの済んだ出門票を利吉から受け取る小松田であった。
「そうですよ!もうすぐお昼ですし、食堂の定食も食べていけばいいのに」
しんベヱも利吉を見上げてそう言う。
「悪いね。けどまた近いうちに来るから」
「ほんとですか?」
乱太郎が代表して聞き返したのに、利吉は頷く。
「うん」
その返事に、忍たまの3人と事務員は目を輝かせた。
「あっ、しまった。父上に約束を取り付けてない…。
乱太郎きり丸しんベヱ。父に“絶対に休みを取って家に帰るように”と伝えておいてくれ」
「それじゃ、またね」と言い残すと、利吉は門をくぐらずに軽々塀を飛び越えて忍術学園をあとにした。
*
72人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年4月6日 16時