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先程廊下で「待て!」と叫んでいた声とこの留三郎という人の声が同じだと気がつく。
申し訳なさそうな留三郎という人に、伊作さんは首を振る。
「気にしないでよ」
「いや、お前がじゃなくて、あの、その人が」
どう言っていいのか分からないというように、その人は曖昧に私を視線で指し示す。
伊作さんはその視線を辿って私の方を見ると、ああ!と気がつきすぐにごめん!と謝った。
「押しかけるのは迷惑だと言ったのだが…」
はあ、とため息をつく留三郎さん。
私はそんな二人を見ていたたまれなくて咄嗟に笑顔を作った。
「気にしないでください。私は大丈夫なので…」
この小さい子達はみんな、私の心配をして来てくれたのだろうということがわかる。
迷惑なんかではない。むしろその優しさに胸があたたかくなっていた。
私の言葉を聞いた4人の子たちは顔を見合わせると、揃って私の方へやってくる。
「僕は忍術学園一年は組の保健委員、猪名寺乱太郎です!」
水色の装束に丸眼鏡の彼が元気よく自己紹介を始める。
続けて乱太郎くんと同じ水色の装束の子が
「僕は一年ろ組の同じく保健委員、鶴町伏木蔵です」
乱太郎くんと伏木蔵くんより少し背の高い青い装束の子が
「僕は二年い組で同じく保健委員の川西左近」
さらに左近くんよりも少し背の高い黄緑色の装束の子が
「僕は三年は組、同じく保健委員の三反田数馬です」
4人は声を合わせて「よろしくお願いします!」と私の方へお辞儀をした。
「うん…こちらこそよろしくね」
私も頭を下げ返してそれぞれに笑いかけた。
「これで保健委員が全員揃ったね。保健委員を中心にAちゃんが目を覚まさないか見ていたから、みんな心配してて」
伊作さんは4人の後輩たちを見ながら微笑む。
「そうだったんですね。ありがとうございます」
保健委員とはいえこんな幼い子達にも心配させてしまったのだと、ありがたい反面少し申し訳なさがある。
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加糖雪(プロフ) - Hanakoさん» ありがとうございます!^^ (2021年4月25日 21時) (レス) id: ac64387404 (このIDを非表示/違反報告)
Hanako - 面白い!! (2021年4月17日 18時) (レス) id: 1d8bf8714f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年3月31日 9時