命短し絵を描け呪術師 其の弐【呪術廻戦】

17 思いと答え ページ10

真っ直ぐ、問いかけられた。



向こうの顔を見れないまま、答える。




「呪霊を祓ってもらって、普通に絵を描く毎日に戻るため…」




それから、顔を上げた。

「…だったんですけど、今はちょっと違います」

真希先輩と目が合う。
真希先輩は私の答えを聞いてどうするのだろう。
わからない。けど、真剣な相手には真剣に答えたい。



「五条先生に、無意識に呪力を使ってしまったりするのは危ない、ほかの呪霊が寄ってきて襲われたりすることもある。だから呪力の使い方を学ぶべきだと言われて、自分の考えの浅はかさに気づいたんです。
ただ呪霊を祓ってもらうのを待つだけじゃだめなんだ、って」






「…いや、その特級呪霊がいたら他の呪霊はそうそう寄ってこないと思うけど…」
横からパンダ先輩が衝撃事実をぼそっと漏らした。

「そ、そうなんですか……！？」
私も声を潜めながら返す。

「しゃけ…」
気づいてなかったのか、という狗巻先輩の小さい声と視線もいただいた。

「ええ…！」









「ん、それで？」

真希先輩は続きを促す。






「…呪霊がいて困っているのはそうなんですけど、でも祓ってもらったその後にだって、私に呪力が残るならまた同じようなことが起きるかもしれない。だから、自分の呪力の使い方＿＿向き合い方を知りたいと思いました」



真希先輩の強い視線が私に刺さる。私も必死にそれに答えるように見つめ返す。





「私、やっぱり絵を描き続けていきたいので」





呪いのことなんて何も分からない。
でもこれからも絵を描くためには、必要なのだ。




「それが、私がここに来た理由です」

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