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「良かった。A、腕の怪我は大丈夫か?それ以外に怪我は?」
「大丈夫だと思う…」
しかし身体を起こすと、
「いっ、た…」
地面についた腕がズキズキ痛んだ。
加えて爆発に巻き込まれて吹き飛ばされた時にぶつけまくっていたらしい身体があちこち痛む。
ただ、あの爆発に巻き込まれていたならもっと酷い怪我を負っていてもおかしくはない。
教えられた通りに受け身をとれたからなのか、ペインが守ってくれたからなのか、この程度で済んでいる。
「大丈夫じゃねえじゃん…」
「ううん、平気。頭は打ってないみたいだし……恵の方こそ、怪我は…」
「俺も大丈夫だ。…呪いのせいで眠らされてたが、その呪霊が祓われたことで目を覚ますことが出来た」
「そっか」
ふっと辺りを見回す。
破壊されて角の無くなった中身が丸見えの校舎。
散らばった瓦礫。
私の白い制服には夢じゃないことを示す赤い絵の具がついていて、刀は爆発した時にどこかに飛んでいってしまったらしく手には何も持っていなかった。
……色々やらかしてしまった気がする。
この破壊した建物は一体全体どうカタをつけるんだろうと考えたらキリがないので一旦置いておこう。
そんなことより、ペインの姿も見当たらない。
一瞬血の気が引いたが、呪力の気配はある。反省タイムの時と同じだ。消滅してしまったわけじゃないと分かって安堵した。
「…何故逃げなかった」
恵の苛立ちの滲む声音に、少し身構える。
「“何かあったらすぐ知らせること。難しかったら逃げろ”、そう言ったはずだ」
厳しく鋭い視線をぶつけられて戸惑ってしまう。
そうだ、私にはもしもの時は帳の外に出て、五条先生を呼べば良いという安全策が用意されていた。
「…ごめん。なんとかしなきゃ、って必死で、忘れてた」
私の答えを聞くと、恵はその釣り上げた目と寄せた眉、引き結んだ口元を一気に緩め、はあ、と大きく息を吐いた。
「…一人で戦わせて悪かった」
「……いや、気にしないで」
悔しそうな表情で謝る恵に微笑む。
戦ったのは私だけじゃない。
「立てるか?」
「……ごめん、手貸して」
「ん」
「ありがとう」
差し伸べられた恵の手を取って立ち上がると、私たちは帳の外へと向かった。
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reia(プロフ) - 加糖雪さん» ありがとうございます!(*^^*)もちろん、無断転載や改変などはしません! (2022年3月2日 17時) (レス) id: 0d7a47aa6b (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - reiaさん» 保存のみでしたらしていただいて良いですよ。画像の複製、改変、転載(複製や改変したものを含む)等は禁止しておりますのでご注意ください。 (2022年3月2日 17時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - souさん» souさんコメントありがとうございます!今後も番外編に挿絵描いてもらう予定なのでお楽しみに〜! (2022年3月2日 17時) (レス) @page32 id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
reia(プロフ) - 加糖雪さん» 挿絵の保存って大丈夫ですか? (2022年3月2日 16時) (レス) id: 0d7a47aa6b (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - reiaさん» reiaさんコメントありがとうございます!挿絵はこれからも番外編にちょこちょこ入れる予定なのでお楽しみに…! (2022年3月2日 14時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星藍 海 | 作成日時:2022年2月11日 2時