9 転入生 ページ22
校舎の廊下に一人、じゃなかった。呪霊と一緒に立たされ、扉の向こうの教室からは声が聞こえてくる。
「おはようみんな!今日から転入生が」
「知ってる」
「知ってますよ」
「知ってるわよ」
テンションの高い五条先生の声を、1年生の3人が揃って遮るのが聞こえた。
「…おほん。じゃあ、入ってきて」
手筈通り、私は扉を開けて中に入った。
教卓の前に立ち、
「まずは自己紹介から…」
「よっ、A!」
「虎杖さん。お二人も、お久しぶりです」
「ちょっと何よあんた、その制服。もっと自分のスタイル生かした着こなししなさいよ」
「釘崎さん…絵を描くにはこれがなかなかベストで」
「え〜?もったいない」
「ていうか
「はい、もう慣れました」
机と椅子がいくつか並んではいるが、3人とも席についてはおらず、虎杖さんと釘崎さんがぐいぐい私を囲んだ。
五条先生の声なんて聞こえていないみたいだった。
「ちょっとちょっと!せっかくの転入初日なんだから!自己紹介からいこうよ!?」
「なんでそんなこだわってんですか」
「様式美、ってやつ?」
「はあ」
「初日ってやっぱりわくわくするものでしょ?」
「そうですかね」
「どうしよう今日は恵も冷たい…」
横から聞こえる伏黒さんと五条先生とのやりとりに、半ば呆れた。
たった3ヶ月居候するようなだけなのにわくわくも何も無いだろう。
「…あ、でも改めて自己紹介はさせてください」
少し後ろの呪霊の隣に並んで立ち、姿勢を正す。
「Aです。前の学校では美術科に通ってました。
ご存知の通りいろいろあって呪霊に憑かれてますが、3ヶ月以内にどうにかしてくれるそうなので、その間だけお世話になります」
一礼して顔を上げると、3人はそれぞれ「よろしく」と笑ってくれた。
「俺は虎杖悠仁。えーと、虎杖さん、じゃなくて虎杖、とか悠仁、って呼んでくれ」
「あ、それ私も。釘崎野薔薇。さん付けはなしね」
「…伏黒恵だ。好きなように呼んでくれて構わない」
「んじゃあA、恵ちゃんって呼んでやんなさいよ」
野薔薇がにやりと笑う。
「…は?!」
「改めてよろしく。悠仁、野薔薇、恵…ちゃん」
「すまん、俺の言い方が悪かった、呼び捨てにしてくれ」
参ったと額に手を当てる姿を見て、思わず笑ってしまった。
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加糖雪(プロフ) - ねむさん» ありがとうございます!続編でもよろしくお願いします〜! (2022年2月11日 4時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
ねむ - ひぇ〜!また更新されておる〜!!めちゃくちゃ良いデス!自分のペースで続編よろしくお願いします (2022年2月7日 22時) (レス) @page43 id: 38d2d0b865 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - ねむさん» ねむさんコメントありがとうございます!面白いですね〜どんな風に強くなっていくか、今後の展開に期待していただければと思います! (2022年2月7日 9時) (レス) @page42 id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
ねむ - 夢主、絵が命かけれるほど大好きなんですね!えと、絵を破かれたりしたら強くなる…みたいなことを妄想しました(><#) (2022年2月5日 20時) (レス) @page35 id: 38d2d0b865 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - るきー流季ーさん» るき―流季―さんコメントありがとうございます!絵師を目指していらっしゃるんですね。この作品をもって私も読んでくださる方を応援できるように頑張ります! (2022年1月30日 22時) (レス) @page23 id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星藍 海 | 作成日時:2022年1月20日 1時