31 (得の「と」の字もない) ページ35
「それにしても、変ですねえ。天女様が自分に妖術をかけるって」
「ちょっと、小松田くんっ」
「え？」
心底不思議に言った秀作を、その隣のだまし絵のような顔の男の人がすかさず咎める。
「あ、っと、俺への対応の仕方とかなら気にしないでください…！」
つい俺が口を挟むと、だまし絵みたいな顔の人は迷いながらもそれ以上何か言うことはなかった。
(……でも、確かに。
俺と同じようにここに飛ばされてきた人たちの意思はともかく、“天女”という存在にとって得があるように付与されているのが“妖術”のような気がする……
…それなのに、“天女”が自分に自分で妖術をかけるのは不都合で、得の「と」の字もない)
おほん、と大川さんが咳払いし、続けた。
「Aには、これまでの天女様と同様、帰るまでの間は忍術学園で過ごしてもらおうと思う」
不安そうな色は見せずに告げた大川さんに、少し脂でテカった顔のおじさんが口を開いた。
「学園長先生、今回の天女様の妖術は忍たまには影響がないとのことですが、それなら学園の外で家でも借りてそこに住まわせるのはどうでしょう」
「安藤先生。それでは誰がAを護るのじゃ？
忍術学園の関係者となれば一人になったAが誰かに狙われる可能性もなくはない。
かと言って、付き人として先生の誰かを一緒に外へ行かせれば忍たまたちの授業ができなくなる」
「そうですか…」
安藤先生、と呼ばれたその人がさっきと比べてだいぶ弱々しく下がる。
「それに過去の事例から見て、今回もどう天女様と忍たまたちを隔離したとしても…何かの拍子に出会ってしまうはずです」
山本さんが淡々と補足をしていく。
「学園の外で妖術が発動して誰より困るのはAさんですし、加えて周りの学園外の人に迷惑をかけるようなことも起こりかねませんから」
(そういえば、俺にこれまでの天女様の話をしてくれた時にも「どんな対応をとってもどこかで綻びが起きて妖術が働いた」って言ってたな…
…それなら、大勢の大人の目の届くところに天女様を置いた方が良いだろう)
俺の知らないところで、この人たちは本当に沢山のことを考えていて、この状況をどうにかしようと努力しているんだ。
32 ｢ワシらでしっかりお守りせねば。｣→←30「……と、言いますと？」
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加糖雪(プロフ) - まぶぴちょこさん» ありがとうございます！（ ; ; ）以前にもコメントくださっていたまーぶりんさんですよね…？！コメントとっても支えになってます…！とっても嬉しいです。 (2022年11月6日 0時) (
レス) @page45 id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
まぶぴちょこ(プロフ) - 受験お疲れ様です！！大変な時期なのに更新ありがとうございます( ◜_◝ )無理せず自分のペースで頑張ってください…！ (2022年11月5日 16時) (レス) @page45 id: 045921842f (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - 小桜さん» 小桜さんコメントありがとうございます！天女ものは色々なパターンがありますが、自分が新しく書くならどういうものがいいだろうと試行錯誤して書いているのでそう言っていただけて嬉しいです(*´-`*) 更新頻度は低めですが今後もよろしくお願い致します…！ (2022年1月7日 20時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - まーぶりんさん» まーぶりんさんコメントありがとうございます！繰り返し読んでいただいているようで本当に嬉しいです…！応援ありがとうございます。頑張ります！ (2022年1月7日 20時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - 羽場さん» 羽場さんコメントありがとうございます！設定を気に入っていただけて嬉しいです。ゆっくりとですが更新していきますのでよろしくお願い致しますm(_ _)m (2022年1月7日 20時) (レス) @page34 id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：加糖 雪 | 作成日時：2021年7月12日 23時
