検索窓
今日:8 hit、昨日:24 hit、合計:1,734 hit

2... ページ31

「......」




「私、嘘つきなの」
自分を嘘つきと読んだ言葉がやけに哀しそうで耳から離れなかったのを覚えていた。


「それでも貴女は優しいです」



「優しいひとですよ」
この時の僕は彼女の言葉を否定した。










「私、貴方みたいになりたかった」

美味しいご飯を食べ終わり、彼女は皿を洗っていた。
まだ水が流れ、陶器の皿がぶつかる音が聴こえるからきっとそうだ。


「貴女はそのままでも素敵ですよ」

「本当かしら」

「本心です」

「そう思えるなんて羨ましいわ」

「人間みたいですね」

「この世界で生きてたら嫌でもこうなるわよ」

「僕もそうなっちゃうんですかね……」

「無理に染まろうとしなくていいのよ」

「じゃあ、染まらないように頑張ります!」

「応援してるわね」





「......ねえ、もし人間が近くにいたらどうする?」

「調理して貴女に食べて貰いたいですね」

「......そう」

「貴女は人間みたいに細身な方なので一杯食べて貰いたいです。それに最近は、元気が無いみたいなので」

「優しいのね」

「えへへ」

「私の姿を見ても恐がらないでね」

「そんなに恐い姿をしてるんですか」

「ええ、きっと人間みたいに苦しむわ」

「僕は人間じゃないですよ」







「やっぱり純粋ね」
頭に触れた手は細く小さいものだった。
僕の爪が当たったら崩れてしまうような弱い力で手を握ってくれた。





Fin.

おばあちゃんと→←【無い物ねだり】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.3/10 (3 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゆりしー2号 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2015年2月6日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。