【文スト】文豪さん、反応記録帳。十三冊目

＊貴女が如何しても死んでしまう世界に彼がループした ページ38

※貴女がループに気付き始めている


「...何度も、辛い顔させて、御免なさい」


中島敦
「ｯAさん...！！」
また駄目だったと、まだ貴女の温もりが残る掌を握り締める。
「(...諦めるな、気を確かにもって絶対にAさんを)」
そして貴女を助けようと手を伸ばし続ける彼。


太宰治
「A...気付いているのかい？」
力無く笑う貴女の頬を慈しむように撫でる彼。
「なら...尚更君を救済する必要があるね」
必ず、と貴女の目を伏せてから、いつもの様に警察に連絡をして、外套を翻しながらヨコハマの街に紛れていく。


国木田独歩
「『何度も』、...」
貴女の言葉が引っ掛かった彼。
貴女がこの事実に気付いているのなら、と新たな救済案を手帳に書き殴る。
「(頼む、これで最後にしてくれ)」


福沢諭吉
「...謝るのは」
此方の方だ、と彼が発する前にこと切れた貴女。
「(何度も苦しい思いをさせて済まない)」
自身の羽織を、愛おしい人の華奢な身体に掛ける彼。
何度も見たこの光景を、自分への戒めに更に焼き付ける。


江戸川乱歩
「...流石名探偵の恋人だ」
彼に褒められて微かに笑った貴女がそっと目を閉じる。
「当の本人は君を助けられない、最悪な探偵だって云うのに」
溢れ出す涙を袖でゴシゴシと拭って、次の策を考える彼。


綾辻行人
「全くだ」
まだ暖かい貴女の頬を撫でると、小さな声で済まないと呟く彼。
「(本人が気づいているのなら、話は別だ)」
ループを抜け出すべく、紫煙と共に思考を巡らす。

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