【文スト】文豪さん、反応記録帳。十二冊目

＊貴女が彼に告白して振られた ページ26

「私、本当に貴方の事が好きなんです。...付き合って貰えませんか、」


中島敦
「僕...”好き”って、あんまり判らないんです、」
だからお付き合いは出来ないです、ごめんなさい、と深々と頭を下げる。
「中途半端な事は、出来ないですから...」
何故か彼が振られた様な表情を浮かべる。


太宰治
「こんな男、辞めときなよ〜」
ぐでーっと、探偵社のソファに沈んでいる彼にそう返される。
「...だって、いつも死にたがっているような男、君を一人にしてしまうじゃあないか、」


国木田独歩
「...済まん、その気持ちには答えられそうにない」
真っ直ぐと目を見て、そう告げる彼。
理想の女性じゃ無かったって云う事ですね、と笑う貴女に、「、そう、だな...」と歯切れ悪く答える。
本当は、自分が理想の男になれる自信が無いから。


福沢諭吉
「済まない」
それだけ告げて、沈黙が流れる。
暫くしてから竹を割ったように、明るく振る舞い始めた貴女。
それに合わせるように、いつも通り接する彼。


江戸川乱歩
「君と付き合ってさ、僕なんかメリットあるの？」
鋭い一言に、面食らう貴女。
だ、だよね、ごめんなさい、と走って行ってしまった貴女の後ろ姿を見つめる。
「...恋愛において、”推理”なんて無粋かな」


綾辻行人
「結論から云うと、無理だな」
貴女自身も何処か諦め半分で彼に想いを伝えた。
涙が零れてしまう前に、彼の前から立ち去った貴女。
「君にそんなに顔をさせる俺は、相応しくないだろう」
揺れながら登っていく紫煙に、貴女を重ね合わせ合わせる。

→→←→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す