【文スト】文豪さん、反応記録帳。十二冊目

＊ヤンデレの彼に首を締められている時に「大好き」と言って息絶えた ページ24

「...ｯ、大好き...、だ、いす、き」


中島敦
「そう云ってくれるだけで、...」
貴女のその最期の笑顔だけで、僕は罪の意識から逃れることが出来ます、と手を握る。
俯いた顔の表情は、既に息絶えた貴女からしか見えない。
しかし、もう一人の自分が強く彼自身を責め立てる。


太宰治
「んふ、ふふ、...」
彼の口から漏れた笑い声が、その空間に奇妙に響く。
「嬉しいよ、私は」
そっと貴女の頭を支えると、自分の左腕潜れ込ませ、硬い地面の上で腕枕をする。


国木田独歩
「...知っている、そんな事」
暫くぼーっとした後、貴女の言葉にそう返答する。
動かなくなった貴女の、まだ暖かさの残る身体を一度抱き寄せてから、警察に出頭する。


福沢諭吉
「...この様な事をされても、まだ同じ事が云えるのか」
自分がしでかした事の大きさは、十分理解している。
其れを笑って赦そうとしてくれた貴女に、ずっと「何故だ」と問い続ける彼。


江戸川乱歩
「ぁ、」
ふと我に返って、貴女の首を見れば赤く残った自分の手形が見える。
「...良く似合うね、その赤」
彼の云う赤とは、血の赤。


綾辻行人
「当たり前の事を云ってくれるな」
遮光眼鏡の向こうの瞳が、泥を交えた様に濁っている。
「...A、」
「色々、済まなかったな」
最後の最後にようやく彼の真っ直ぐの想いが零れる。

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