【文スト】文豪さん、反応記録帳。五冊目

＊しつこいナンパ男に一本背負いしたところを彼に見られた ページ15

「…ｯしつ！！こいｯｯ！！」

中島敦
「Aさ」
貴女の前に立ち塞がろうと意気込んだのも束の間。
パンパンっと手を払う貴女にドキドキな彼。
『ふぅ……あ、敦〜！』
「た、体術教えてください！！！」
『え？』

太宰治
「私の出る幕は無かったね」
貴女の隣に立ち一緒にナンパ男を見下す。
目に光の無い二人に、足をもつれさせながら逃げていく。
「良い逃げっぷりだ！」

国木田独歩
「見事だ」
貴女に乱歩さんから頼まれた駄菓子を託すと、世界が逆転している男の前に屈み、
「A、先に戻っておけ。良いな」
男の足が痺れる十分前。

福沢諭吉
「何があった」
誤解があってはいけないので、状況を説明してもらう。
が、理解した途端彼の周りがさらにピリつく。
無言で腰を抜けさせる。

江戸川乱歩
「は〜い、残念！！」
「君が思ってたか弱い女の子じゃないから、さっさとどっか行ってよね」
しっしっと掌をヒラヒラする。
背負い投げができる貴女が羨ましい。

芥川龍之介
「投げが甘い」
羽織が姿を変え、男の頬をかすめる。
「もう一度だ、貴様付き合え」
この顔…と逃げ出そうとする男を無言でとっ捕まえる。

中原中也
「はっ、ちっとは可愛らしく叫べねぇのかよ」
貴女の腰に手を回すと、
「次、分かってんだろうな」
ドスの効いた声を響かせる彼。
バタバタと逃げていく男に二人で大笑いする。

森鴎外
「君、いい趣味をしているね」
にこやかな表情を貼り付ける彼。
その瞬間、光に反射したメスが男の目にちらりと映る。
この後のことを悟り失神する。
「あ、一寸可哀想な事をしたかなぁ」

坂口安吾
「僕が見てたこと知ってたでしょう」
頼ってください、と頭を軽くコツンとされる。
『御免ごめん、咄嗟にね？』
笑い返すと、溜息をひとつ着いて帰りましょうかと、貴女を誘導する。

フョードル・ドストエフスキー
「声をかける人を間違えた様ですね」
そう一言吐き捨てると貴女に接吻をする。
「…もう私のですから」
底の無い沼の様な瞳の輝きに背筋が凍る男。
人生で一番忘れられない出来事になる。

＊彼のために手作り弁当を差し入れに来た→←＊日頃の恨み言を呪文にして唱えながら藁人形に釘を刺しているのを彼に見られた

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