【文スト】文豪さん、反応記録帳。十一冊目

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「…私…やっぱり、貴方の事が好きなの、我儘で御免なさい、」


芥川龍之介
「笑止、」
小さく笑うと、眉間のしわがぐっと深くなる。
「時すでに遅しというもの」
貴女との思い出に蓋をする様に、瞼を伏せる。
…じゃあね、と背を向けて歩き出した貴女の名前を一度だけ呼ぶ。


中原中也
「俺は惚れた女には誠実なんだよ、意外とな」
だから、手前の気持ちに答えられねぇ、と真っ直ぐ目を見て云われる。
「…ただ、手前の良い所も抜けてる所も、誰より知ってるぜ」
止まらない涙を拭ってくれるのは、これが最後。


森鴎外
「…なら、もう一度お付き合いをしようか？」
で、でも…！貴女にはもうお相手が居るじゃあないですか、と首を横に振る貴女。
「…じゃあ、如何して私にその事を伝えたんだい？」
彼の口元が怪しく歪む。


坂口安吾
「…其れは、あの時に云って欲しかったですね」
眼鏡の位置を直すと、彼の視線が私の肩の辺りを彷徨う。
「しかし、僕は貴女に対して彼氏らしい事を出来ないばかりか、傷つけてしまった」
精々僕を恨んでいてください、と自虐的に笑う彼。


フョードル・ドストエフスキー
「貴女の我儘を聞けるのは、ぼくの特権だと思っていましたが…」
其れを自ら手放したのもぼくです、と独り言の様に呟く。
「…馬鹿ですね、貴女の事になると如何してこうも融通が効かなくなるんでしょう」


条野採菊
「そうやって馬鹿正直な所は、何も変わってませんね」
私を罵って一生癒えない傷を付ければ良いのに、と耳元の鈴を揺らす。
「そうすれば、私の中で貴女の存在が死ぬまで消える事はないでしょう？」


末広鐵腸
「…済まない」
ううん、一途な貴方を好きになったんだもの、と泣きながら笑う貴女。
「そうか…有難う、」
少ない言葉数はあの頃と変わらない。

＊コロし屋の貴女が人をコロす以外に生き方を知らなかった→←＊彼の元カノである貴女が、彼女の居る彼に告白した

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