真夏のお前は罪な太陽 ( 緑×橙 ) (ページ7)

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( orange side )

いつまでそうしていただろう。

心地良い裕ちんの腕の中で、俺は徐々に規則的な呼吸のリズムを取り戻していた。

「マル」

不意に呼ばれて、顔を上げる。

閉じられた扉の細い隙間から漏れてる廊下の光が、裕ちんのきれいな顔を照らす。

見とれてたら、いつの間にかそれは目の前にあって。

俺らの距離が縮まっていくのと比例するように瞼もゆっくりと落ちて。

やがて重なる、ふたつの唇。

____同時に、今日最後の一粒が、�を伝って零れ落ちた。

しばらくして、離れていく名残惜しいふっくらしたものと、乾いた跡が残っているだろう俺の�を撫でてくれる優しい掌に、ふふって笑って、

「...ありがとう、裕ちん」

そしたら俺の髪くしゃくしゃに乱して、「ん」って、またどっか向いた。

「裕ちんて照れ屋のくせに、こういうところほんま頼りになるわ」

「......からかってるん？」

「いやちゃうよ、感謝してるの」

もう一回、ありがとう、って言ったら、俺のことじっと見てくるから、「俺変な顔してる？」聞いたら、

「いや、久々に笑った顔見たな、思て」って。

確かに思い返せばここ数日____裕ちんとロケに行った日も、心から笑顔でいれた日は無かったかもしれない。
一応笑えてたつもりやってんけど、俺が隠してた顔をに裕ちんは気づいてたみたいで。

「裕ちんはなんでもお見通しやね」

「何年一緒に居ると思うてるん」

「ほんま、長い間ずーっと一緒やったもんね」

それに、裕ちんは俺のこと...ほかのみんなよりも少し多く、知ってると思う。

...なんて、数年前の自分に引っ張られそうになって、慌てて我に返る。

気づかないうちに立ち上がってた裕ちんが、「立てるか」って腕を伸ばしてくれたから、荷物持ったら有り難くそれに助けてもらう。

扉を開ければ、入り込む眩しい光に目を細めて、裕ちんの服の裾ぎゅっと引っ張った。

「裕ちん、どうしよ。このまま戻ったら俺、泣いたのみんなにバレてまう」

「あぁ、確かにちょっと目ぇ赤いもんな」

どうしようか、って二人でで解決策模索してたら、いたいた！、って廊下の向こうから俺らを呼ぶ声。
パタパタ駆け寄ってきたのはポニーテールのスタッフさんで、俺たちのこと探してたみたい。

「あっ、もう収録の時間...？」

慌てて思い出して携帯取り出そうとしたら、「それが...」って深刻そうな顔。

今日の収録は延期になった、という報告だった。