真夏のお前は罪な太陽 ( 緑×橙 ) (ページ6)

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6. きみページ6

( orange side )

大倉が俺に『話したいこと』____もう近づいてくんなって、ことかな。
多分、そういうことやろな。だって俺は、"ありえへん"奴やもんな。もう一緒にいたくないに決まってる。

自分勝手な俺の口が開く。
離されるなら、先に離してしまったほうが、気持ちは随分楽だ。

俺は振り向いて、無理矢理笑顔張り付けて、

「これからは距離おけばええんやろ？俺みたいなきしょい奴といるん、大倉も迷惑やって、わかってるし」

それから大倉に何か言わせる隙を与えないように、するするその場しのぎの嘘吐いてく俺の口。

「もう大倉のことなんとも思ってへんから。…男好きとか、変わった奴でごめんな」

「は？マ…」

「彼女持ちのメンバー勝手に想って、ほんまに気持ち悪いよね、俺」

「何言うてんのって」

目元が熱くなってくる。
大倉の顔が歪んでくのは、涙のせい？

「も…離して」

未だに掴まれたままの腕を振ったら、大倉の力は簡単に俺を離した。
終わりは、呆気ない。

彼から目を離して振り返る前に、これだけ____

「今まで、ありがと」

ちゃんと声に出したら溢れてしまいそうだったから、小さく呟いたこの一言が届いていたかはわからない。この数秒間で発した俺の台詞の中で、唯一の本音が。

ありがとう____ほんの少しの恋。

そのまま足を進めて楽屋通りすぎたら、後ろから大倉が俺を引き留める声が聞こえることももうなくて、ほら、もう、おしまい。

それからは、いく宛もなくふらふら歩いた。

ずっと肩にかけてたバッグから携帯出して今の時刻確認したら、収録が始まるまでまだ時間がある。

こんな泣き顔みんなに晒せない上、大倉がいるであろう楽屋に入れないのは絶対条件。
どこで時間を潰そうかと辺り見回したら、人気のない部屋が目に入る。近づいて扉開けたらそこは物置部屋で、灯りの一切無い中は俺の気分に丁度いい。
人が二人くらい入れるスペースに立って扉を閉めたら、真っ暗な部屋では何も見えなくなった。

一人になって、ふって気が緩んで、崩れ落ちるようにしゃがみこむと、叫ぶように泣いた。涙と一緒にこの気持ちも流そうと、惜しげもなく。

けど、それは一向に止まらなくて。
自分が思っている以上に大倉は、俺の心の中支配してた。
やっぱり、離れられるわけなかった。

そんな時、キィ…って閉めたばかりの扉が開く音。

見られた。

慌てて上を向くと、見えたのは、俺を照らす光
……と、裕ちん。

「…ぅ、…裕ち……」

名前を呼び終えるよりも先に、俺は包み込まれた。暖かい、裕ちんの体に。