二十七輪 ページ27
何も言わない私に気分を害したのか浦田花魁は「嫌ならいいけど。」とぶっきらぼうに言い足した。
「えぇっと………、じゃあ、浦田、さん…？」
どうするのが正解か分からず、首を傾げてそう言った。
「…………っ」
浦田花魁を見ると何故だかほんのり顔が紅くなっていた。
「え、浦田さん大丈夫ですか？体調悪いんじゃ…。」
遊男は毎夜お客さんの相手をする。
お客さんに買われる以上、お酒を飲んだり、身体を売ったり、相当疲れているはずだ。
(あまり寝れてないんじゃ…)
「大丈夫ですか？」ともう一度聞くと、浦田さんは「…大丈夫だから。」と俯きながら答えた。
まだ顔が紅い浦田さんを心配していると、浦田さんは何か言いにくそうにちらちらこちらを見て口を開閉させていた。
「…？」
そんな浦田さんを不思議に思いながら見る。
「…俺も名前で呼んでいい？」
小さな声でそう言った浦田さんに面食らってしまい、思わず「は…」と声を漏らす。
「え、はい…いいですけど…。」
言い渋っているようだから何かと身構えていた分、拍子抜けしてしまった。
(わざわざ名前で呼ぶ許可なんて…他のお客さんにも毎回許可とってるのかな…？)
律儀な人なんだな、と思いながら浦田さんを見ると、浦田さんは私の返事を聞いてふふ、と嬉しそうに顔を綻ばせた。
どくん、と一つ心臓が大きく波打ったのがわかった。
先程まで見せていた余裕のある艶やかな笑みではなく、まるで玩具をあたえられた子供のように嬉しそうに笑う。
そして「A。」と呟き微笑んだ浦田さんに、脈が上がっていく。
(顔あつ…)
不意に顔に当てた手から熱が伝わる。
顔に集まった熱を冷ますためにパタパタと手で扇ぎ、そんな自分を悟られぬよう咄嗟に声を出した。
「ぅ、浦田さんはいつも此処で接客されてるんですか？」
(しまった、間違えた…！)
頭が働かないせいでなんとも場違いな話題を出してしまった。そんなこと当たり前なのに。
やってしまったとオロオロするも、浦田さんは質問に丁寧に答えてくれた。
「そう、芸妓やたくさんの遊男を買って宴会を開く客もいるけど、大体は此処。男も女もね。」
「男も？！」
浦田さんの言葉に驚き、大きな声を出してしまい、慌てて口を押さえた。
そんな私を見て浦田さんはふ、と笑い頷いた。
「女色が禁じられてる坊さんや根っからの男色家の金持ちとかね。」
「ま、俺くらいになると男も虜にするンだよ。」
浦田さんはそう悪戯っぽく笑った。
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藍瑠(プロフ) - 夜さん» ありがとうございます！そう言って頂けて本当に嬉しいです。続編もよろしくお願いします！ (2022年3月15日 16時) (
レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
藍瑠(プロフ) - ウルさん» ありがとうございます！嬉しいです、続編もよろしくお願いします！ (2022年3月15日 16時) (レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
藍瑠(プロフ) - 匿名希望さん» ありがとうございます！更新頑張ります！ (2022年3月15日 16時) (レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
藍瑠(プロフ) - Haoto-ハオトさん» ありがとうございます！更新不定期ですが、気長にお待ち頂けると幸いです！ (2022年3月15日 16時) (レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
藍瑠(プロフ) - えゆさん» ありがとうございます！続編もよろしくお願いします！ (2022年3月15日 16時) (レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍瑠 | 作成日時：2020年3月16日 20時
