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二十三輪 ページ23

そんな私を見て浦田花魁はニヒルに笑った。

「そのままじっとしてな。」

そうして近づいてくる花魁の顔を直視できず、私はぎゅっと目を瞑った。


・・・

中々降ってこない警戒するものに不信感を覚え、うっすらと目を開ける。

薄目を開けた途端突然視界は暗闇に覆われ、顔に重量感を感じた。

「ぅぐっ…何?」

顔に乗っている何かに手を伸ばすともふもふとした心地の良い感触。

そして「きゅー」という鳴き声と共にくりっとしたこちらを見つめる2つの丸と目が合う。

「たぬき…?」

自分の顔に遠慮なく4本の足をのせるのは1匹のたぬき。頭には青葉が乗っていて、その葉と同じ形のチャームがついた緑の首輪をしている。

「なんでたぬきが…」

(というかがっつり顔踏まれてるんですけど…)

たぬきはそんなことお構い無しとでも言うように、私の顔の上でくるりと後ろを向いた。

「よしよしやまだ、いい子だな。」

浦田花魁は目を細め、自分の方を向いたたぬきの頭を撫でる。

たぬきは嬉しいのか尻尾をぶんぶんと振っていて、そのおかげで私の顔はしっぽにばしばしと叩かれる。

「ちょ…痛っ…!」

私が身体を起こそうとするとたぬきはすとん、と横に降りた。

「何なんですかこのたぬきは…」
たぬきのしっぽに叩かれ痛む顔を手で擦りながら上半身を起こす。

「こいつはうちのお職のやまだぬきだ。」

「は?!お職?!」

「嘘に決まってんだろ。」

お職、所謂1番人気の花魁という言葉を素直に真に受け目を見開くが浦田花魁は冷たく返す。

「自分から言った癖に…というか、早く退いてください。」

浦田花魁の素っ気ない態度に顔を歪ませ、未だ私の上に乗っている彼に降りるように言う。

「期待した?」

ニヤニヤとこちらの顔を覗き込む花魁には「してません!」とツンと跳ね返す。

「つれないねぇ。」
そう笑う彼はようやく私の上から退いた。

「まぁ俺に幼女趣味はねぇから、お前はないな。」

「私と同い年くらいの子めちゃくちゃいましたけど?」

客としてきていた女の子達を思い出し、じと、と花魁を見る。

「お前みたいに乳臭くないし、生娘じゃない。」

「っちょ、痛っ、悪かったって」

尚も失礼な言葉を連発する花魁をばしばしと無言で叩く。

「はぁ、というかもう帰っても良いですか?」

何か鋪からお咎めがあるのかと思ったが、花魁に遊ばれただけ。からかわれ損だ。
(早く帰って休みたい…)

すると、花魁は「は?何言ってんだ?」ときょとんとした顔をした。

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設定タグ:歌い手 , 浦島坂田船 , 花魁   
作品ジャンル:恋愛
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藍瑠(プロフ) - 夜さん» ありがとうございます!そう言って頂けて本当に嬉しいです。続編もよろしくお願いします! (2022年3月15日 16時) (レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
藍瑠(プロフ) - ウルさん» ありがとうございます!嬉しいです、続編もよろしくお願いします! (2022年3月15日 16時) (レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
藍瑠(プロフ) - 匿名希望さん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2022年3月15日 16時) (レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
藍瑠(プロフ) - Haoto-ハオトさん» ありがとうございます!更新不定期ですが、気長にお待ち頂けると幸いです! (2022年3月15日 16時) (レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
藍瑠(プロフ) - えゆさん» ありがとうございます!続編もよろしくお願いします! (2022年3月15日 16時) (レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:藍瑠 | 作成日時:2020年3月16日 20時

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