二十輪 ページ20
彼ら花魁は遊男の中でも頂点の高級遊男。器量だけでなく、様々な才や芸、気品をも兼ね備えていないとなれないという。
それらを得る為に幾年もの月日と血の滲むような努力が必要だったことだろう。
遊郭では同じ舗の遊女でも時には売上や地位、権力のために客を取り合い、
そんな
そもそも私は本来必要な引手茶屋の紹介も初会、裏の2回も経ていない。
それらをすっとばしているだけでも異例で花魁のプライドを傷つけていてもおかしくない。のに、逃げ出してしまった…
花魁からすれば、無理を強いて馴染み(3回目の登楼)から入った客につき、挙句来てみれば帰るとの紙、そして他の花魁を覗いていた。覗きに関しては完全に誤解だが、私は煙管を受け取り、花魁の誘いに応じている。とてつもない屈辱だろう…。
色々と解釈にすれ違いは生じているが、私の自己中心的な行動で浦田花魁が傷ついてしまったのは事実だ。
恐らく花魁は私が浦田花魁を気に入らず、帰ると言い、気に入った志麻花魁の部屋を覗いていたと思っている。
(この誤解だけでもとかないと…)
すると、花魁が急に立ち上がった。
「……おかさん(内儀さん)に頼んで敵娼を変えて貰いに行きなんす。」
それだけ言うと、花魁は出口の襖の方にすたすたと歩き出した。
「えちょ、待って…！」
思わず私は花魁の着物の裾を引っ張っていた。
「…離してくんなんし。」
花魁は少しだけこちらを振り返り、如何にも不機嫌な仏頂面で言った。
その仏頂面には涙の一筋も流れた後がなく、本気で泣いていたと騙す気はないのか、と少し失笑してしまった。
「花魁様、誤解です…！」
「確かに私は帰る旨の手紙を置き、志麻花魁の部屋の前にいましたけど、浦田花魁が嫌とか、志麻花魁が良いとかそういうのじゃなくて…今更こんなことをいうのは失礼だと分かっていますが、この舗で過ごす気が最初から無かったんです…。」
「それで遊郭自体から帰ろうと思って道を探していたら、たまたま！本当にたまたま志麻花魁の部屋に辿り着いてしまって…それだけです…！！」
気まずさに私は俯いた。
すると花魁は静かに口を開いた。
「…それは、ほんだすかえ？(本当ですか？)」
「はい…」
私は頷き、そして「本当にすみませんでした…。」と頭を下げた。
(花魁の侮辱罪になる、のかな…)
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藍瑠(プロフ) - 夜さん» ありがとうございます！そう言って頂けて本当に嬉しいです。続編もよろしくお願いします！ (2022年3月15日 16時) (
レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
藍瑠(プロフ) - ウルさん» ありがとうございます！嬉しいです、続編もよろしくお願いします！ (2022年3月15日 16時) (レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
藍瑠(プロフ) - 匿名希望さん» ありがとうございます！更新頑張ります！ (2022年3月15日 16時) (レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
藍瑠(プロフ) - Haoto-ハオトさん» ありがとうございます！更新不定期ですが、気長にお待ち頂けると幸いです！ (2022年3月15日 16時) (レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
藍瑠(プロフ) - えゆさん» ありがとうございます！続編もよろしくお願いします！ (2022年3月15日 16時) (レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍瑠 | 作成日時：2020年3月16日 20時
