三輪 ページ3
美沙子ちゃんに怪訝そうに顔を覗き込まれて、慌てて取り繕ったが不自然では無かっただろうか。
私は彼女たちの表情を盗み見たが、杞憂だったようで既に楽しそうに談笑していた。
ほっとしたのも束の間、美沙子ちゃん達は遊郭の大門に向かって歩きだし、ぎょっとする。
「ま、待って…！」
思わず大きな声を出してしまい、ばっと口を両手で覆った。
振り返った3人は不思議そうな顔をした。
「Aちゃん、どうしたの？」
「早く行こうよ！」
「で、でも入るためにはって女切手がいるんじゃ…
私、持ってないよ…？」
「それに、こういう所って男性達がその……楽しむ所でしょう…？」
何とか引き返せないかと脳をフル回転させたが、出した言葉は拙いものだった。
しかし幸いにも3人には私の言いたいことが伝わったらしい。
3人は顔を見合わせ、可笑しそうに笑うと、私の方に駆け寄って来た。
「まぁ不安に思うのも当然だよねぇ。」
「確かに、遊郭って普通男性達が楽しむ所だけどね、ここ、中原遊郭は私達も楽しめるんだよ？」
「ここは珍しいからね。」
「…え？」
3人の話に全くついていけない。
確かに花魁道中など、遊郭をあげての一大行事なら女性達も多く見物に訪れる。
しかし大門から中の様子を伺うに、花魁道中が行われている様子はない。
もしかして、中原遊郭の中には女性達の娯楽施設でもあるのだろうか。
遊女達が芸を披露するとか。
「女切手なら私がAちゃんの分まで取ってるよ〜！」
「ほらほら早く行こう〜」
茜ちゃんと優希ちゃんに両腕をがっしりと組まれ、美沙子ちゃんには背中を押され、結局私は3人の勢いに押され、大門をくぐってしまった。
3人は手馴れた様子で四郎兵衛番屋(会所)に女切手を見せ、中をずんずんと歩いていく。
周りを見ると、男性達に比べると少ないが確かに女性も歩いていた。
(12年もあれば遊郭も変わる、か…。)
周りを見れば、既に夜見世が始まる刻らしく、遊郭は明るく提灯が灯り、お囃子の音が鳴り響き、大勢の客で賑わっていた。
男性達は格子の向こう側にいる遊女達を眺め、その中には舗に入って行く者もいる。
そんな様子に、改めてここが遊郭であると実感させられる。
しかし何処を見ても女性達の娯楽場のようなものは見当たらない。
(一体美沙子ちゃん達は、ここを歩く女性達は何を目当てにしているのだろう…。)
すると遠くから女性達の歓声やうっとりするような声が聞こえて首を傾げた。
「……何？」
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藍瑠(プロフ) - 夜さん» ありがとうございます！そう言って頂けて本当に嬉しいです。続編もよろしくお願いします！ (2022年3月15日 16時) (
レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
藍瑠(プロフ) - ウルさん» ありがとうございます！嬉しいです、続編もよろしくお願いします！ (2022年3月15日 16時) (レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
藍瑠(プロフ) - 匿名希望さん» ありがとうございます！更新頑張ります！ (2022年3月15日 16時) (レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
藍瑠(プロフ) - Haoto-ハオトさん» ありがとうございます！更新不定期ですが、気長にお待ち頂けると幸いです！ (2022年3月15日 16時) (レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
藍瑠(プロフ) - えゆさん» ありがとうございます！続編もよろしくお願いします！ (2022年3月15日 16時) (レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍瑠 | 作成日時：2020年3月16日 20時
