柱最強の女_第9章

−５３４−手紙_竈門炭治郎 ページ34

竈門 炭治郎 殿


この手紙を読んでいるという事はきっと


私はこの世に、皆の元に居ないと言う事だね


まず初めに、君達を置いて逝ってしまうのを


どうか許して欲しい


炭治郎と出会ったのは柱合会議だったな


鬼を連れた剣士として裁判にかけられた君


その時の私はとても冷たく酷い事をした


出会いは最悪だったが蝶屋敷で話して


君がどれだけの覚悟で妹を連れているのかを知った


実際禰豆子もいい子だったからな


だから君達を信じようと思った


まさかそれから恋仲になるとは思ってなかったよ


一番の思い出は君と見に行った海だな


海を見るのは二回目だったのに、何故だろうな


炭治郎と見た海はとても綺麗で輝いてた


勇気をだして簪をくれた


嬉しかった。明日の無い鬼殺隊の身で


好いた相手に簪を貰えるなんて夢みたいだった


買ってくれた煙管も大切に使っているよ


私が死んだら、炭治郎に遺品整理を頼みたい


まぁ物は少ないからすぐ終わると思う


着物入れに入ってある着物は全部


良かったら禰豆子に着させてあげてくれ


煙管は棚の小さい引き出しにある


簪は左の棚に大切に入れているよ


...死にたくない。君と、君が死ぬまで一緒に生きたい


寿命なんて無視して炭治郎達と一緒に居たい


沢山の思い出を作りたい、皆でまた海を見に行きたい


でも全部...叶わない


だから私が死んでも下を向かず生きてくれ


幸せになって、大好きな笑顔で笑ってくれ


出会ってくれてありがとう


好きになってくれてありがとう


愛してくれてありがとう


沢山の気持ちを教えてくれてありがとう


愛しています




無常 A





┈┈┈┈┈┈




所々涙が乾いた跡が残る手紙

泣きながら書いたのだと分かる

そんな手紙に新しい涙の跡がついていく




炭治郎「ｯ...愛...っ...してる...俺だってっ...貴方を...ｯ...」




絞り出すように言った愛してるの言葉

綺麗な瞳も自分の名前を呼ぶ声も繋いだ手も

揺れる長く綺麗な髪も全部愛していた



A｢炭治郎...君を置いて逝く事を許してくれ...幸せだった、とても。だから君も幸せになってくれ...｣＿



春の風と共に耳に届いた声は大好きな無常の声で

笑う顔が好きだと言ってくれた愛しい人のために

涙をゴシゴシと袖で拭う






炭治郎｢ｯ...俺、ちゃんとAさんの分まで幸せになるから...見ててくれ｣







優しく微笑む炭治郎

何処かで｢勿論｣とまた声が響いた

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