柱最強の女_第9章

−５３３−手紙_煉獄杏寿郎 ページ33

煉獄 杏寿郎 殿




この手紙を読んでいるという事はきっと


私はこの世に、皆の元に居ないと言う事だね


まず初めに、君達を置いて逝ってしまうのを


どうか許して欲しい


煉獄くんと出会ったのは確か私がまだ柱になる前


槇寿郎さんに稽古を付けてもらっていた時だったな


その時はまだ君も幼くて、千寿郎は生まれて間も無い


瑠火さんも生きていて槇寿郎さんが熱心だった頃


久しぶりに会って大きくなった煉獄くんと


千寿郎を見た時は吃驚したよ


君は炎柱として鬼殺隊に入って


私と手合わせした時凄い目を開いて話しかけてきた


目玉が落ちるんじゃないかと内心ヒヤヒヤしていた


そして列車の時守ってやれなくてすまなかった


君は私に風穴が空かなくて良かったと笑ったが


一番センスのある君から呼吸を奪ってしまった


なのにそれでも大丈夫だと安心させるように笑ったな


柱最強の称号を貰ったのに情けない姿ばかり


本当に不甲斐ない私にいつも元気をくれた


ありがとう、ずっと救われていたよ


明るく振る舞う裏で悲しい事、苦しい事、辛い事を


沢山経験して乗り越えた君は凛々しい男だよ


そして千寿郎にも謝っておいてくれないか


一緒にご飯を作ると言う約束を守ってやれずすまないと


槇寿郎さんにもしっかり生きてくださいと


憧れだと、最強だと勇気と元気をくれてありがとう





無常 A





┈┈┈┈┈┈┈


いつもキリッと上がる眉も今は情けなく下がる


元気をくれていたのは君の方だと


何処と無く母に似ていた無常に救われていた煉獄







杏寿郎｢君も母上と同じことを言う...無常少女...君こそ俺の憧れだ..｣






力無く下を向く


欲しい言葉をくれる無常も色々あっただろうに


それでも自分を後にして皆を優先する優しさ






A｢心を燃やせ。君の言葉で私は頑張れた、ありがとう｣＿






いつかの自分が言った言葉


ゆっくり静かに頬を伝う涙









杏寿郎｢君が願うのなら、俺は心を燃やして生きよう｣








その瞳の奥に小さく光が揺れた

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