記録60 ページ12
tn side
思わず「え？」って言うてもた…。
ここの所Aにとって色んなことあったとはいえ、Aが考えを発言したのは初めてだった。
はいかいいえしか言わんかったのに…
命令を聞くだけやった子が…
『ご主人様？』
tn「…」
あー…今俺、母さんの気持ちわかる気がするわ。
視界がぼやけながらも、Aが表情を一切変えず、ご主人様と呼ぶのが見える。
表情が出れば完璧なんやけどなぁ…
『何故泣いているんですか？』
tn「っ、ずるいわ…」
こういう時に限って知らないような口振りで聞いてくる辺りがほんまにずるい。
俺は泣き顔を見られたくなかった。だからいい歳した大人にも関わらずしゃがむと、何故かAも一緒にしゃがんできた。
tn「なんで…っ、なんで一緒にしゃがんでくんねん…」
『ダメでしたか？』
すみませんといい、立ち上がろうとするAの腕を俺は引き、しゃがませた。
Aは一瞬ぴくりと反応したが、メイドという立場をわきまえているのか、抵抗しなかった。
tn「手伝う前にちょっと間こうさせて…｣
休憩、と自分で言い、気持ちが落ち着くまでこのままでいようとすると、ポンっと温かいものが頭に触れた。それがAの手だと言うことに気がついた頃には、俺はマフラーと同じくらい顔を真っ赤にしてたやろう。
tn「あのぉ…Aさん……？」
Aは無言で俺の頭を撫で続ける。泣く子供をあやすように、それはもう優しく。
『気持ちいいですか？』
tn「気持ちいいか、気持ち悪いで言うたら気持ちいいけどさぁ…」
『そうですか』
Aはその言葉を聞くと、ずっと俺の頭を撫で続けた。…多分これ、俺がやめてって言わなやめへんねやろなぁ。
tn「でも、なんで突然撫でてきたん…？」
『ゾム様から教えてもらいました』
tn「ゾムぅ……」
『トントン様は撫でられるのがお好きだと』
tn「それは誤解や」
ゾム…絶対アイツ教える時悪い顔しとったやろ、とAに問うと、「笑顔でした」と答えた。
Aには悪い笑顔と、いい笑顔の区別がつかないらしい。
tn「はぁ…、もうちょい頑張ろな」
俺は頭を撫でていたAの手首持って、やめさせ、反対に今度は俺が撫でてやった。
『ゾム様とはまた違いますね』
本人は気づいてないやろうけど、そう言ったAの声はちょっと嬉しそうに感じた。
まぁ、俺の思い上がりかも知れんけど。
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マァト(プロフ) - 完結おめでとうございます！とっても幸せな気持ちになれる作品でした。とてもほわほわしてます！モノクロ少女も応援してます！ (2020年12月4日 17時) (
レス) id: 19a370924b (このIDを非表示/違反報告)
雪村(プロフ) - おいちゃんさん» おいちゃん様、コメントありがとうございます！楽しんでくださったのであれば、作者としては大変嬉しい限りです。ここまでご愛読本当にありがとうございました！ (2020年11月30日 20時) (レス) id: 269a7df98c (このIDを非表示/違反報告)
おいちゃん(プロフ) - 完結お疲れ様でした！初コメ失礼します！いちtn推しとして楽しませて頂きました！素敵な物語で最後メイドちゃん笑ってくれて良かったなってほっこりしてます。。お疲れ様でした！ (2020年11月29日 18時) (レス) id: 9941211368 (このIDを非表示/違反報告)
雪村(プロフ) - 紫乃さん» 紫乃様、コメントありがとうございます…！はわわ、楽しんで読んでいただけているのであればとても幸いでございます！成程、ご意見の方ご参考にさせて頂きますね！よければ最後までご付き合い頂けますと嬉しいです…！ (2020年10月21日 19時) (レス) id: 269a7df98c (このIDを非表示/違反報告)
雪村(プロフ) - マァトさん» マァト様、コメントありがとうございます…！そうですね、そろそろ長いお話にも幕引きです。ここまでお読み下さり誠にありがとうございます！成程、ご参考にさせて頂きます！よければ最後まで楽しんで頂けますと幸いです…! (2020年10月21日 19時) (レス) id: 269a7df98c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪村 | 作成日時：2020年8月15日 14時
