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目を会わせようとしない彼は「えっと……」と云い口を閉じる。普段なら此処で何か問い詰めたりしてしまいそうだけれど、今は彼の話を黙って聞いてみることにしたのだ。彼が口を開く迄待つことにしよう。
「ナオミばかりに構ってしまって、Aさん寂しいンじゃないかなって……敦君と話しに成りまして。強引に成ってしまって本当に申し訳ないンですけど……」
 おどおどとする彼は未だ十八だ。未だ高校生程の子に気を遣わせてしまったことの申しわけなさと、気にかけてくれていたことの嬉しさが込み上げる。なんだか可愛い。本人に伝わったらきっと、ショックか何かを受けるのではないと推測される言葉は呑み込むことにした。感謝の意を伝えると彼ははにかんだ。
 彼の柔らかな髪を撫でると彼は恥ずかしそうに目を瞑った。偶には素直に成るのも良いかも知れないと思ったとき、扉が開く音と共に聞き慣れている声が飛び込んできた。
「A、谷崎」
「乱歩さん……? 済みません、」
「なにしてたの?」
 ひやりと冷たい声に自然と姿勢が良くなる。乱歩さんはチラリと谷崎君を見るとため息をついた。慣れない彼の行動に変に緊張感がはしる。乱歩さんはもう一度ため息をつき、やれやれと云ったように顔をしかめると私の腰を抱き寄せた。困惑する私と谷崎君を余所に、彼は唇を重ねた。
 無理矢理舌をねじ込んだ彼は私の太ももをなで上げる。目をかたく瞑った私に彼は唇を離し満足そうに微笑んだ。突然の事に力が抜けた私を乱歩さんは受け止めると、谷崎君に向かってこう言い放った。
「谷崎。Aは“僕の”こう云う接吻が好きなんだよ。……ね、」
 髪を指で一束掬い其処に接吻を落とす彼は、何時もよりも色っぽい気がして。直ぐに目を逸らすと谷崎君の顔が視界の隅に写った。谷崎君はムッとしてるかな、と云う予想を裏切り冷静にこっちを見ていた。彼は顎に手を当て考えているような素振りを見せると、静かに口を開く。
「あの……乱歩さんって、Aさんに普段如何云うことをしてるンですか?」
「……ハイ?」
 あまりにもぶっ飛んだ説明に疑問符が湧き上がる。……此の子、なに云ってるの……? 私の事は頭に無いのだろう、乱歩さんは私の腰にするりと手を伸ばすと妖艶に微笑んだ。
「……じゃあ、見せてあげないとねェ」
 嗚呼、矢っ張り。……此の人達には一生敵わない、と。私はため息をついた。

Fairu.6 織田作之助×弟溺愛系妻×坂口安吾(曇天に笑う様リクエスト)→←Fairu.6 谷崎潤一郎×ツンデレ系妻×江戸川乱歩(ろん様リクエスト)



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , 短編集   
作品ジャンル:アニメ
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マリマリ - ドス君とゴーゴリ君でお願いします。 (2018年2月28日 21時) (携帯から) (レス) id: 28273e2d77 (このIDを非表示/違反報告)
もふ子(プロフ) - マカロンさん» 遅くなってしまってすみません(^-^; はい、了解しました! (2017年11月5日 17時) (レス) id: b313acaf74 (このIDを非表示/違反報告)
もふ子(プロフ) - Junさん» 遅くなってしまってすみません(^-^; はい、了解しました! (2017年11月5日 17時) (レス) id: b313acaf74 (このIDを非表示/違反報告)
マカロン - リクで、中也さんと僕(芥川)お願いします! (2017年10月20日 16時) (レス) id: d2e6ec52ac (このIDを非表示/違反報告)
Jun(プロフ) - リクエストで太宰さんと森さんの二人を書いてくださいっ! (2017年10月19日 7時) (レス) id: 9dd92fd273 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もふ子 | 作成日時:2017年5月4日 22時

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