【文スト】狐のカミカクシ【太宰治】

カミカクシ　肆 ページ5

｢じゃ、早速なんだけど、ここら辺の掃き掃除をお願いしよう。｣


あ、仕事は普通なんだな

と思いつつ、目の前の山のような落葉を掃き始めた









｢な、なかなか、終わらない…｣


掃いても掃いても葉は落ちてくる

それを見るのが楽しいのか、太宰さんはｸｽｸｽとこちらを見て笑っている









どれくらい時間が経っただろう

太陽が真上を生き生きと照らす頃
声をかけられた



｢それじゃぁ、今日は終いにしてお昼にしようか｣




｢でも、まだ掃き掃除は終わってませんよ｣

と
言いかけたとき

またつむじ風が吹いてきた





するとどうだろう

幾ら掃いても集まらなかった葉っぱ達がいくつかの山に綺麗に別れたではないか



｢………そんな事出来るなら初めからやれば良かったのではないですか？｣


｢いやね、一生懸命掃いてる君が面白くてね。｣


ｱﾊﾊと笑う彼を軽く睨みつけつつ、話題を変えた




｢お昼って何を食べるんですか？｣


｢お供えしてある果物とか、お米も供えられるんだけど炊くのが面倒なのだよ。｣

｢それって、私が食べたらバチが当たるんじゃ…｣

｢私が良いって言ったら良いんだよ。元々私達神族は信仰がご飯みたいなもので、こういった食物では腹が膨れないのだよ。趣味で果物は食べるけどね。｣




そ


そんなの



｢勿体無いです！！！！｣



彼はいきなり出した私の大声に目を見開いた

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