猫の気まぐれ3【イナズマイレブン】 (ページ20)

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105話ページ20

『船着き場の待合室なら試合が観られると思う。悔しいがここは見守るしかない』

港に入ってきたとき、目に入ったテレビはヤマネコスタジアムと中継を繋いでいるようだった

間に合っていたら今頃…というタラレバを飲み込み試合が始まるのを席で待った

不安の中始まったアルゼンチン戦は結論から言うと1ー2でイナズマジャパンの負け

前半は円堂、鬼道がいない上監督もいないという焦りから実力を発揮できないという展開

代打でキャプテンになった風丸も足を負傷しチームの雰囲気は暗くなる一方

しかし基山がキャプテンになった後、焦っていたことを認知して攻撃が噛み合うように

後半ではアルゼンチンが鉄壁の守りと言われる所以、必殺タクティクス"アンデスのアリ地獄"を破って新必殺技で点を決めるなど目覚ましい成長を遂げた

でも一番は立向居

春奈や一年生達が一緒に練習していた技を完成させたのだ。立向居が考えた立向居だけの技

ずっと円堂と同じ技をして追い掛けてきたサッカーを立向居自身のものにできた瞬間だった

とはいえ負けたことに変わりはない。この試合を大きく一歩踏み出す価値あるものにしなくては

「みんなー！」

日本の宿舎に戻るともう既にみんな帰ってきていた

影山の事情を話すと話題は自然と先程の試合のことに移った

「すまない、円堂。勝てなくて…」

エースストライカーである豪炎寺が謝罪した

精神的支柱の円堂、司令塔の鬼道

そして絶対的でありチームの心の拠り所にも成りうるエースの豪炎寺

この三人はチームに必要不可欠な存在

今回、三人中二人が居なかったことで豪炎寺の精神的負担が大きくなったのだろう

真面目な奴ほどこういうとき立ち直るのが難しい。彼のせいではないから何か言葉をかけるべきなんだけど

鬼道と円堂を試合に出れなかった要因が自分にもある気がして何も言えない

「みんな、元気出せよ！決勝トーナメントへ行けなくなったとまだ決まった訳じゃないんだしさ」

「確かに一敗はしたが残りの試合に全勝すれば可能性は充分に残っている」

鬼道が未来の可能性を示すと、円堂が言葉を繋げる

グランドファイア、魔王・ザ・ハンド、壁山と栗松と木暮のタクティクス破り

アルゼンチン戦での良かったところを円堂が誇るように言うとみんなの士気も高まる

「残りの試合全勝を目指してまた明日から特訓だ！」

「おおー！」

円堂の言葉って凄いんだな。こんなにも曇った心を一瞬で晴らしていく太陽みたい