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……
…
「い、おい！」
戻ってきた。
そういえば俺、今授業中だったな…。
ぼんやりとのんきなことを考えながら、授業の状況を把握しようとのそのそ体を起こす。
そんな俺とは裏腹に、俺の方を向いて焦ったようにヒソヒソと俺に声をかけている米屋。
出水「？」
先生「いーずーみー？」
出水「うわ、先生…」
目の前には現国の教師が教科書を丸めて立っていた。
出水「えー、と、あれです、
ちょぉーっと昨日は夜遅くて…
ははは、ほんとっすよ？」
嘘は言ってない。
昨日は俺が帰る直前に性懲りも無くきなこもちを隊室で食べた太刀川さんが何を思ったかいきなり扇風機をつけ、当たり前だが風がきなこもちのきな粉を隊室中に吹っ飛ばした。
それの処理をしていたらいつの間にか時間は10時過ぎていた。
その後家に帰って宿題して風呂はいって次の防衛任務の確認して…と、なんやらこうやらしていて、寝たのはもうすでに「今日」だった。
先生「言い訳は要らん！」
ｽﾊﾟｰｰﾝ!
出水「いったぁ！？」
丸めた教科書は、俺の頭を叩くためだったらしい。
教師が教科書を大切に扱わなくていいのか！そんなことを思ったけど、言うと感情を逆撫でちまうかな、と考え直し、言わなかった。
先生｢全く。
反省したのなら寝るなよ！」
出水「はぁい。」
その会話を最後に、面白げな空気は授業の真面目な感じへと戻って行った。
授業はだいぶ進んでいて、黒板の半分以上が埋まっていた。
ノート誰に借りようかな。
やっぱ米屋か？いや、あいつもノート取ってるか微妙だしそもそも取ってても解読に時間かかりそうだな。
なんてことを考えながらも、頭の中を陣取っているのはさっきの夢。
あの後、解析班が来て周辺を調べた結果、近界のトリオン反応があった。あの3人はネイバーだったらしい。だとしても、俺はひとりの人の命を奪ってしまったのかもしれない。
それがずっと俺の中で溜まっている。
だから、これはきっと忘れてはいけないことなんだ。
もう、あんなことにならないように。
あの日から俺は「変わった」と言われるようになった。「大人しくなった」と。
あの日から思いっきり派手にぶちかまそうと思っても、どうしてもブレーキがかかってしまう。
それが、今日までずっと続いてる。何とかしなくちゃとは思っているけど、弾道の途中に誰かいたらと考えると、安全な方を選んでしまう。
日に日に焦りが積もっている。
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作者名：四希 | 作成日時：2022年1月5日 23時
