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烏丸side
俺が彼女に追いついた時、誰かに謝っていた。
飛び出した時に放ってきた出水先輩に、だろうか。
彼女の前に飛び出す時、汗だくで、かっこ悪いなって思ったけど、それよりもあいつが心配で、必死だった。
烏丸「いた!」
「とり、まる?」
その時の彼女は、泣き出す寸前で。
でも、俺にこれ以上迷惑をかけないように、我慢したような顔をしていた。
我慢なんて、もうしなくていいのに。
「大丈夫か?あの人に何言われた?どんな感情むけられた?」
昼飯とか、影浦先輩とかそんなのは今はどうでも良くて、もう何も我慢してほしくなくて、話してほしくて、
一気に詰め寄りすぎたと、口に出してから思った。
テンパリすぎて、穴があったら入りたい。
彼女の瞳はどんどん潤んでいって、でも、彼女自身がそれを拒んでいて、
「だい、じょうぶ、」
「…」
「っ〜、じゃない、こわ、かっ、た…」
こいつの「大丈夫」の8割は大丈夫じゃないって知ってるから、なんて言おうか考えた。
彼女はもう限界だ。
だからこそ、何も言わなかった。何も、言えなかった。そしたら案の定、その後に言葉を付け足し、泣き出した。
これがきっと彼女の本音だ。
烏丸「もう大丈夫。俺が、お前を守る。」
こんなことしたらセクハラで訴えられるかとおもったけど、今のこの子を見ていたら、こうしなくちゃいけない気がして、抱きしめる形で背中をさすりながらそう言った。
それからずっと彼女は泣いた。
怖かった、
嫌だった、
気持ち悪かった、
痛かった、
辛かった。
全部流しきる勢いで泣いた。
出水先輩について話すと、少しずつ安心してきたのか、Aは落ち着きを取り戻してきた。
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作者名:四希 | 作成日時:2022年1月5日 23時