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待ち合わせは十九時だったが、やるべき仕事が押して四十分遅れで店に入った。
指定された店は地方から取り寄せた食材で作る料理が特徴の高級感のある居酒屋で、店内は落ち着いた和空間で統一されている。
「すいません、遅れました」
案内された個室の扉を開けると、ほんのりと赤らむ整った顔が三つ、一斉にこちらを見た。
「待ってたよ」と海が言い、「遅い〜」と拓弥。
「お疲れさま」
祐基はそんな二人を見て楽しそうに笑っている。
彼と連絡先を交換して、今度三人で集まるから良かったら来ないかと誘いを受けたのが三週間前。三週間経って、六月になっていた。
拓弥の隣が空いていたので自分も椅子に腰掛ける。注文を聞きにきた店員にビールと告げると、すぐに運ばれてきて、改めて四人でグラスを合わせた。
冷たいビールが喉に沁みる。三人はそれぞれ二杯目に入ったところだった。
「この間は何で帰っちゃったの？俺らがまだまだ楽しませて慰めたのに〜」
拓弥のぱっちりした瞳が子供のようにゆっくりとした瞬きをした。もう酔っているのだろうか。
海と拓弥に会うのはまだ二回目だが、不思議と昔からの友人のような安心感を感じる。
「元気付けられたんですけど…でも女には、一人で泣く時間っていうのも必要なんですよ」
テーブルに頬杖をつき、いたずらな笑み浮かべながらAは言った。妙に色っぽい気配を感じて、拓弥は慌てて自分の酒を口に含んだ。
「そっか、綺麗になった訳だ」
と海が言う。それに「わかる」とお通しの茶碗蒸しを食べつつ祐基が答えた。
「そうですか？髪切っただけですよ？」
稜雅の結婚式に参加して一週間ほどした頃、Aは髪を切った。以前からうっとうしいと思っていたし、髪を切れば何か変わると信じたのである。実際三人は、稜雅への気持ちが吹っ切れたAの表情は何処か明るくなったように感じていた。
「Aちゃんが帰った後祐基が走ってきて、連絡先知らないどうしよう〜もう二度と会えないかもしれないよ〜ってうるさくて〜」
拓弥がにやにやしながら、祐基の真似をした。
「いやホントマジでやめて、拓弥！それは言っちゃダメだって！」
祐基は隣に座る海の肩に額を押し付けて、誰が見ても明確に赤面していた。それを指摘されて顔を両手で隠したが、耳まで真っ赤だ。
Aは苦笑いした。慌ててふためく祐基の様子があまりにも可愛らしかったのだ。
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ゆるり(プロフ) - 三谷さん» ありがとうございます！コメント励みになります！ (2019年11月11日 23時) (
レス) id: ae282f000e (このIDを非表示/違反報告)
三谷(プロフ) - めちゃくちゃいいです…ユーキ推しにとっては最高です…これからも更新頑張ってください！応援しています！ (2019年11月11日 20時) (レス) id: c80e5d51b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2019年10月30日 2時
