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「──げ、悠仁マジで女連れてんじゃん。」
「……おかか」
「見せつけんなよお前ら〜」
広い敷地内。あちらこちらへと足を運んでも誰とも会わなかったのを不思議に思っていた途中で、漸く生徒らしき人達に出会した。
……え、パンダ?
「先輩!こっちにも色々あんだって。」
「まあ話は聞いてるけど……、んで?名前は?」
眼鏡をかけたスタイルのいい女の人が私を見た。つられて男の子と、……パンダ?も私を見て。
「橘Aです。」
「禪院真希。」
「しゃけ」
「こいつは狗巻棘。俺はパンダだ。よろしく。」
「よ、よろしくお願いします……。」
まともな人が一人しか居ないんですが。
真ん中の人はお腹すいてるのかな……?てか一番訳ありそうな人が一番普通の挨拶してどうするの。なにか教えて欲しい。
縋るような気持ちが加速していく中、私は知らず知らずの内に握る手に力を込めてしまったらしく。
「ははっ、悠仁大分懐かれてんじゃん。」
「女の子と合法でずっとくっつけるなんてどこぞのA、」
「おかか!」
パンダ先輩?の発言に勢いよく飛びかかった狗巻先輩。……うん、良かった。中身は普通だ。
パンダ先輩が言いたいことも凄くわかるよ。私だってこんな突飛なシチュエーションをはいそうですかって受け入れられる訳じゃない。
正直ここに来るまでの数日は断ろうか迷っていたくらい。
でも、
「あー……ごめん、橘。先輩達悪いやつじゃないんだけど」
「ううん、大丈夫。優しそうな人達だね。」
「男にベッタリな女って聞くから心配してたけど、A良い奴じゃん。」
「しゃけしゃけ」
やっぱり、そうだ。
あの日も私は、ここの人達の温かさに触れて感動した。
最初は怖かった野薔薇ちゃんも、あの後誤解が解ければすぐに謝ってくれたし、何ならLINEも交換して今も仲良くしてくれている。
伏黒君はあまり喋ってないけど、それでもいい人だと分かるのは十分で。
そして、何より。
「だろ?気も使えるし、橘すげえ良い奴なんだよ。」
虎杖君の存在が、一番大きい。
カラッとした性格とその遠慮の無さから最初は少し警戒してたけど、彼は誰よりも人の気持ちを汲み取るのに長けていると思う。
私が欲しい言葉を直ぐにくれるから話していてストレスもない。
「助けたのが橘で良かった。」
──私は、虎杖君のこの笑顔に滅法弱いらしい。
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ひめな(プロフ) - めっちゃ私の好みの小説でした!出来れば続編のパスワード教えて欲しいです! (12月9日 2時) (レス) @page45 id: b03f19678b (このIDを非表示/違反報告)
眠民。 - 初コメ失礼します!ゆきさんの呪術廻戦シリーズ一気読みしました!!最っ高でした‥虎杖大好きなのでほんと嬉しいです。。虎杖の作品少ないですよね😭😭共感してくれる人いた‥。本当に神作品をありがとうございました!長文失礼しました!! (11月26日 14時) (レス) @page45 id: 7e432fa76e (このIDを非表示/違反報告)
みるちょこ(プロフ) - コメント失礼します!とても素敵な作品でした!続編のパスワード教えて欲しいです! (2023年3月17日 22時) (レス) id: 2858c63edd (このIDを非表示/違反報告)
ライム - すごくいい作品でした!最後の言葉なんて言ったのかめっちゃ気になります!こんな最高のお話を作ってくれてありがとうございますm(_ _)m (2022年11月5日 12時) (レス) @page43 id: e7904a37c4 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 続編のパスワードを教えて頂きたいです! (2022年9月19日 4時) (レス) @page45 id: ea066f037b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき | 作成日時:2021年1月30日 23時