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変化は緩やかに訪れた。
数秒が数分に。数分が数時間に。数時間が一日に。
橘を助けたいと意気込んでここへ招いたはずなのに、気がつけば橘に触れる時間は減っていくばかりで。
空いてしまった右手を眺めながら、あの子の体温はどんなだったかと思ってしまう。
……多分、俺の考えすぎだ。余程のことがない限り俺は今まで通り宿儺に打ち勝てる。勝手に体を乗っ取られて彼女をどうこうされる心配は、無いはずなんだけれど。
それでも、嫌だった。嫌で、とにかく嫌で。
あの子にこの醜い体を見られて拒絶されてしまったら俺はどうなるんだろう。
自分を救ってくれた男の中に、自分を今まで苦しめてきた呪霊がいると知ったら、あの子は。
分かってる。橘はそんなことで拒んだりしない。そんなこと、俺が一番。
｢──何してんの、悠仁。｣
ふと、遠く後ろからかけられる声。
夜も23時を回った今、生徒共有広間のソファに座り込んでいたのは俺だけで。
就寝時間を過ぎた外出であると言うのに、五条先生は特に何を咎める訳でもなかった。
｢……何してんだろうね。｣
適当に返事をすれば、大袈裟なため息が部屋に響く。
もうどんな表情をしているかなんて分かりきっているから、俺は決して振り返ることはしなかった。
数歩、こちらに近づく足音。五条先生の次の言葉を嫌なくらいに察してしまった俺は、自然と膝の上の手に力が篭もる。
｢Aはどうしたの。｣
｢どうって、多分部屋で寝てるよ。｣
｢そういう事じゃなくて、｣
いつにも似ない真面目な声色だった。
夜、静かな空気も相まって、俺たちの間に訪れる無音が酷く喉元を締め付ける。
｢一緒にいてあげるんじゃなかったの。｣
なんて。やっぱり想定通りのことを聞かれたものだから、俺は。
｢高専内は大丈夫だって、先生が言ったんじゃん｣
沈んでいた腰を持ち上げ、振り返りながらそう答える。
先生の口元が、心做しか歪んだような気がした。
きっと先生だって分かってる。
俺が先生の質問の真意を知った上で、わざと的はずれなことを言っていると知っている。
知っているから、何も言えない。俺だって、何も言いたくない。
それ、なのに。
｢───……悠仁、あの子のこと、好きなんじゃないの。｣
然許り苦しそうな声だった。
俺はもう、何を返す気にもなれなかった。
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ひめな(プロフ) - めっちゃ私の好みの小説でした！出来れば続編のパスワード教えて欲しいです！ (12月9日 2時) (
レス) @page45 id: b03f19678b (このIDを非表示/違反報告)
眠民。 - 初コメ失礼します!ゆきさんの呪術廻戦シリーズ一気読みしました!!最っ高でした‥虎杖大好きなのでほんと嬉しいです。。虎杖の作品少ないですよね😭😭共感してくれる人いた‥。本当に神作品をありがとうございました!長文失礼しました!! (11月26日 14時) (レス) @page45 id: 7e432fa76e (このIDを非表示/違反報告)
みるちょこ(プロフ) - コメント失礼します！とても素敵な作品でした！続編のパスワード教えて欲しいです！ (2023年3月17日 22時) (レス) id: 2858c63edd (このIDを非表示/違反報告)
ライム - すごくいい作品でした！最後の言葉なんて言ったのかめっちゃ気になります！こんな最高のお話を作ってくれてありがとうございますm(_ _)m (2022年11月5日 12時) (レス) @page43 id: e7904a37c4 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 続編のパスワードを教えて頂きたいです! (2022年9月19日 4時) (レス) @page45 id: ea066f037b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆき
| 作成日時：2021年1月30日 23時
