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黒春 難しい ページ25

ここで圭吾がいてくれたら、もう少しまともな返答が出来たのだろうけど、生憎、私が帰ってきたときから居なかった。応急手当された患者さんと、『治療任ス』という置き手紙が残っていただけまだいいのだろうけど、いつになったら帰ってくるのだろうか。かれこれ数時間こうしてリハビリというお喋りをしているが、あまり気分の良い話ではない。早く戻ってきてほしい。
「お医者ちゃんは…なんでここで働いてるの?」
あぁ、話が再開してしまった。
「人を救いたいからです」
「…まぁそうね。じゃなくて、なんでこんな抗争地帯で働いてるわけ?」
「…ここが、職場だから」
「…なんかあんたってテンポ悪いわね。じゃあなんでここを職場にしたのよ。別に、人救いたいんなら市街地にいけばいくらでも働き口なんてあるじゃない。っていうか、そっちの方が治安良いし、給料出るし、施設だって整ってる。こんな簡易医療所でなくたっていいじゃない。」
傷口が開くのではないかと不安になるくらいの大声で問われ、少し怖じ気づいた。
けど、質問にすぐ答えられなかったのはそのためじゃない。
言葉を頭で反芻させて、砕いて、飲み込んで、自分のものにして、それにあった答えを出せばよいのに、なにも浮かばない。
というか、なにもない、という方が正しいのかもしれない。だって、私が望んだのは人を救うこと。この異能を以て、こぼれ落ちる命を少しでも受け止めること。私自身が楽をしたくてしているんじゃない。現に、私がここにいなければ、この患者さんはこんなにすぐに元気にならなかった。自画自賛だけど、私の異能があったからすぐに元気になったんだ。つまり今、ここで人を救えている。ならば、ここで働くことに、不満などない。それ以上なんて求めない。私の職場は、居場所はここだから。必要がないなら、ここ以外なんて考えられない。そうでしょう?
「…やっぱりナシにして。きいたアタシが悪かったわ」
あ、不機嫌にさせてしまった。これはいけない。
「すみません」
「謝るんだったら、そろそろアタシを仲間のところへ帰してよ。」
「…それは………」
圭吾が始めに診ていた患者さんだから、圭吾の許可なしには返せない。
「何でもいいけど夜までには帰してよ。一仕事あるんだから。…ふぁあ、一眠りしようかしら、帰れるようになったら起こしてよね。寝てるからなんて気遣い、要らないから。」
そう言ってぱふりと布団を被った。
…リハビリって難しいな。早く圭吾、帰ってきてよ。

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設定タグ:中原中也 , 文豪ストレイドッグス , 文スト   
作品ジャンル:アニメ
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みうひ - いってることわからなかったらコメント下さい!書き直しますので! (2019年2月19日 23時) (レス) id: c614937f38 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みうひ | 作成日時:2019年2月17日 14時

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