黒春 責任者中也 ページ20
捕虜の拷問の途中だったが、俺は幹部室に戻った。結構楽しくなってきたところだったのに とか思ったけど、部下がきてるってんだから仕方がない。拷問の続きを、別の部下に任せて、拷問室を去った。
「わりぃな、待たせた」
「あ、いえ、すみませんお忙しい時に」
そう言って部下は…かなえは、ぺこりと頭を下げた。
…、俺はてっきり、敵の襲撃に行ってた部下かと思っていたので少し驚いた。まぁでもこいつも部下だ。俺の早とちりが悪い。
「用ってなぁなんだ?何か営業不良でもあったか?」
どかり椅子に腰かけて問う。
「いえ、あの、報告書です」
そう言ってかなえは茶封筒を俺に差し出した。なるほど、そういえばこれの確認も俺の仕事だったっけ。いけねぇ、忘れかけてた。
俺は礼を言って受け取り、さっとその場で目に通すフリをした。1秒、2秒、3秒…と心で数えた後、
「…これ作ったの、手前か?」
と、尋ねた。わざとだった。
「いえ、全部圭吾です。」
首を振り、簡潔に答えた。そして、機械のこと、よくわからなくて…と付け足した。
その表情に嘘っぽさがなかったことと、かなえは機械音痴そうという勝手な印象のもと、その言葉を信じることにした。ちゃんと指示通り、誰かに任せずやってくれたようだ。
Wordで、丁寧に、簡潔に、誤字脱字無く、分かりやすくかかれている。流石圭吾、流石中退した元薬大生。
合計五人分ある報告書のはじめから、じっくり読んでいく。患者の病状や処置とかはどうでもいいので読み飛ばして。主に黒社会の情報。実を言うとこの報告書は黒社会の情報を得るために提出させているようなものなのだし。…なんて、そもそもこの組織が『マフィア』であることも知らないかなえに言うわけがない。その間、かなえには来客用のソファーで寛いでもらった。…といってもあいつ自身は、姿勢よく静かに座り、微糖の缶珈琲をちびちび飲んでいただけだが。…苦いのか?もっと甘いのがいいのか?とか思ったような思わなかったような。まぁ、次来たときはミルク珈琲を出してやろうと思ったのは覚えてる。
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みうひ - いってることわからなかったらコメント下さい!書き直しますので! (2019年2月19日 23時) (レス) id: c614937f38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みうひ | 作成日時:2019年2月17日 14時